世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 51
「しかしさっきの一撃を外しちまったのはおもしろくないな〜。
狩りってのは的に当たってナンボだかんな。
・・・よし。ちょっと早いが、こっちもとっておきを出してみるか!
くくくっ、きっと中の連中は驚くだろうなぁ。
オレの『魔弾』を目の当たりにしたら・・・♪」
腐りきったヒーローはケラケラ笑いながら、銃を取り替え、パチンコ玉のような弾丸を装填する。
彼はいったい何をしようとしているのか?
そして彼の言う『魔弾』とは一体・・・?
その頃、煙幕の張られた店内で命中寸前の狙撃を受けたヘビ怪人は、仲間に大声で注意を促していた。
「気をつけろッ!?狙撃手はこの煙幕の中でも私たちを撃てるようだ!
障害物や敵で死角を作りながら行動しろッ!」
その言葉に、ウエイトレスの面々は勇ましい返事ともにその行動を対狙撃手用に切り替える。
そしてそれはキッチンで仲間と連絡を取り合う、ウエイトレスたちにも聞こえていた。
「円(まどか)!?聞こえた!?早くしないとみんながヤバいよっ!?」
「わかってるわよっ!気が散るからちょっと黙っててっ!!」
円と呼ばれたウエイトレスはイライラをガマンしつつ、再び仲間たちに連絡を送る。
彼女の名前は夜月円(やづき・まどか)。
今、彼女はカエル怪人に捕まった3人の怪人と連絡を取ろうと必死になっていた。
“蓮っ!羽樹っ!六実っ!聞こえてるッ!?
聞こえたらすぐに返事をよこしてっ!お願いッ!!”
夜月 円。彼女が戦闘に参加せずに必死に仲間たちに連絡をつけようとしているのは、別に通信専門の怪人であるからではない。
彼女が本来の力を発揮するためには、その3人の力がどうしても必要だったからだ。
“うるさいわよ、円!そんなデカい声で言わなくても聞こえてるわよっ!?”
“っ!羽樹(うき)!?無事だったの!?”
予想外に早く連絡がついたことに円は驚く。
返ってきたのはメンバーの1人、皆川羽樹の不機嫌な声。
“こっちはどこかの雑居ビルで汚いヘビの口から吐き出されたところよ。
時間から見て、そんなに遠くじゃないわね”
“ヘビ?”
“私たちがカエルだと思ってたのはトカゲの尻尾みたい。
さっきからバカでかいヘビの口からみんなが次々と吐き出されているわ”
それを聞いて円は焦りを感じる。
今、外では謎の狙撃手がカエル(?)怪人と私たちを攻撃中だ。
今は落ち着いているが、いつ攻撃が再開されるかわからない。
もしカエルが全滅して、本体のヘビごと敵の別働隊に逃げられたら大問題だ。
ここは何としてもここに帰ってきてもらわねばならない。
円はすばやく仲間に連絡をつける。
“羽樹!今すぐ何とか連中を倒してこっちに来れない!?
今、私たち、正体不明の敵の狙撃を受けているの!
私たちは動けないから、そっちの連中で狙撃手を排除してほしいのよ!”