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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 47

啓太たちのいる隠し部屋は、本部基地に通じる通路の途中にある。
夢は通信機で部下と連絡を取りながら、地上へのエレベーターに乗り込む。

「状況は?」
「敵は蛇のように長いシッポを持つ複数のカエル型怪人と、戦闘員の混成部隊です。
 どうやら我々の捕獲が目的らしく、重火器などの武装はありません。
 被害は仲間が数名、カエル怪人に飲み込まれました。
 通信が来ていることから、敵に捕獲されたものと思われます」

仲間を捕えられたと聞き、夢はその状況を推測する。
ウエイトレスたちの中には戦闘型の怪人もいることから、無抵抗で捕まったとは思えない。
おそらく一般客に正体を知られまいとして、わざと捕まったのだろう。
敵の手の内も知らずにやられるなどほめられたことではないが、それならそれで使いようもある。
夢は短い時間ですばやく次の指令を送る。

「わかった。飲み込まれた連中は、そのまま捕虜のふりをさせて情報収集に当たらせる。
 状況に応じて敵の殲滅、もしくは脱出をするように連絡しておけ」
「かしこまりました」
「それとオマエらの中で視界の良し悪しに関わらずに動けるものはいるか?」
「は、はい。何名か」
「よし。それなら誰かに消火器を使わせて煙幕を張らせろ。
 そのスキに一般客を回収、隔離。
 ならびに人間形態を解除して戦闘体制に入れ」
「了解」

これで自分が到着するまでの時間稼ぎはできた。
後はどれだけ早く事態の収拾に移れるかが勝負の決め手となる。
あまりモタモタすれば今度は騒ぎを聞きつけたヒーローとやりあう可能性があるからだ。
連中は世間や公的機関とのつながりがある分、悪の組織より厄介な相手である。

(間に合ってくれよ・・・!)

夢はそう願いながら、久しぶりに身体を戦闘モードに切り替え、準備を整えるのだった。

――――

「うあぁぁああっ!?」
「たっ、助けてくれえェッ!?」

その頃。地上のファミレスでは、阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっていた。
襲って来たのはウエイトレスの報告どおり、10人ほどのカエル怪人とその倍はいるであろう黒タイツの戦闘員。
彼らは実に息の合った連携でウエイトレスたちを苦しめていた。

「キャアァァアアッ!?」
「美加っ!?」

そして今また1人のウエイトレスが、カエル怪人に捕獲されようとしていた。

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