PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 44
 46
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 46


突然啓太と退避しろと言われ、夢は即座に教育者モードから指揮官モードに思考を切り替える。
耳を澄ませば、通信機の向こう側からはおよそファミレスとは思えない銃声や剣戟の音、悲鳴がかすかに聞こえてくる。

「他組織の怪人たちの襲撃ですっ!
 今は一般客の確保と避難を行っていますが、じきにここは戦場になりますっ!
 啓太様に被害が及ぶ前に一刻も早く避難をっ!」
「・・・・・・ッ!!」

ウエイトレスの報告を聞いた夢は、予想以上に早い敵組織の攻撃に思わず舌打ちをしてしまった。
キレイどころの集まる施設は他組織の狩場となりやすい。
だが、開店して間もない場所を狙うとは・・・!

「夢さま?何かありましたか?」

夢の様子に何かを察した刀が恐る恐る訊ねてくる。
夢は啓太たち、刀と視線を移してから口を開いた。
そこには先ほどまでの後悔はどこにもない。
先のことを考えている指揮官の顔であった。

「上で敵組織の襲撃があった。
 私はこれより敵を駆逐するため、上に戻る。
 刀、オマエはここに残り、啓太様の護衛をしろ」
「なっ・・・!?そんなことより啓太様の避難が最優先なのでは!?」
「今、啓太様はお楽しみの真っ最中だ。邪魔をするのはヤボというもの。
 何より啓太様によけいな心配をかけたくないし、啓太様も部下の危機を無視して逃げることは決して良しとしないだろう。
 それにここの指揮官であった心はあのザマだしな」

そう言って夢が指差す先には、尻を突き出させながら秘裂から精液をあふれ出させている心がいた。
確かにあの様子では指揮官どころか、戦力になるかどうかさえ怪しい。

「いいか、刀。今、我々がなすべきなのは啓太様に何もなかったとお知らせすることだ。
 啓太様に聞かれたら、私がまだウエイトレスたちを説教しているとでも言って足止めしておけ。
 私からの連絡があるまで決して啓太様を表に出すな」
「・・・承知いたしました。ですがこの宴、いつ終わるやもしれません。
 早々なる事態の解決をお待ちしております」
「わかっている。そう心配するな。
 ・・・ということだ。これより私が上に向かい、事態の収拾を図る。
 私が到着するまで戦況を維持し、情報収集に努めろ」

夢は遠回しに我が身を案じてくれる部下に微笑みながらそう言うと、再び指揮官の顔に戻って通信機の向こうに指示を下す。
そしてそのまま刀に背を向け戦場に向かう。
別れの言葉など必要ない。ここでは『何もなかったことになっている』のだから。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す