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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 43

そう思った刀は思わず飛び出そうとするが、夢によってそれを阻まれる。

「夢さま!?」
「静かにしろっ。啓太様に気づかれるっ」
「そ、そんなっ。今の啓太様をご覧になっていて、空たちを放っておけと!?」
「心たちは自業自得でああなっただけだ!
 空たちにも手をかけるとは限らない、少し黙ってろ!」
「・・・っ!?」

異様に興奮している夢に、刀は反射的に口を閉ざす。
そう、夢は興奮していた。
自分の施してきた教育が、ここまでの成果を出すなんて思いもしなかったのだ。
あとは啓太が空に手を出すか否かで、教育方針に修正を加えていけばいい。
幸い、啓太は心たちを気絶させただけで、殺したり傷つけたりする気はないようだ。
ここは空たちには尊い犠牲になってもらおう。
夢は興奮する一方で、冷静に状況を観察していた。
そしてついに啓太の手が空たちにかけられた。

「――大丈夫か、空、薙、彩夏?」
「「――ッ!」」

今までの啓太と同一人物とは思えない優しい呼びかけに、夢は言葉を失い、刀は自分が信奉する主人に戻ったことに安堵と歓喜を感じていた。

「あ、ああ・・・ッ!け、いた、さまぁ・・・ッ」
「申し訳ありませぬ・・・申し訳ありませぬぅ・・・ッ!」
「ハアッ・・・ハアッ・・・。す、すみません・・・。
 自分たちの不注意で・・・啓太様を・・・ッ」

薬の効果が薄れてきたのか、3人とも発情こそしているもののその目には理性の光が戻ってきている。
その様子に啓太は安堵のため息をついた。

「ふうっ、よかった。空の母乳が効いてきたみたいだな。
 毒にも効果があるのか、正直不安だったんけど。
 いや、うまく行ってよかった〜!」

鬼神のごとき憤怒の化身から年相応の青年に戻った啓太は、うれしさのあまり空たち3人をギュッと抱きしめる。
その背後の入り口で、夢は先ほどの啓太の言葉から、彼が何をしたのかを理解した。
鈴・空の糸田親子は、この半年の間に再調整を受け、スイーツ・ホルスタインという怪人から1ランク進化した怪人にパワーアップした。
啓太はそれを利用して空たちを救ったのである。
空が再調整によって手に入れた力とは再生の力。
心を癒し、魂を癒し、身体を癒す。それが糸田空の新たな力である。
回復能力だけなら他のスイーツ・ホルスタインでも持っている能力だが、今の彼女の回復能力はそれらを圧倒的に超えている。
今の彼女の身体は風穴を開けられようと、手足を断ち切られてもビクともしない。
おそらく心臓を潰されても再生できるであろうくらいの力はあろうと目されている。
今の鈴と空は、スイーツ・ホルスタインを超えたミラクル・ホルスタインとも言うべき存在に進化を遂げたのである。

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