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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 40

不意を突かれた心は吹っ飛んで無様に地面に倒れた。
しかし啓太はそれでも許さず、さらに心にのしかかった。

「・・・・・・!」
「どうした?さっきからハトが豆鉄砲食らったみたいな顔をして?
 オレの能力のことを忘れたか?」

能力、と言われて心はようやく思い出す。
今の啓太は人間ではなく、自分と同じ怪人であることを!
おそらく啓太は拘束された手首の部分だけに鎧をまとい、内側から拘束ベルトを引き千切ったのだ!
さらに爪を立てられたときは、皮膚そのものを硬化させて毒の爪を防いで見せたのだ。
信じられない成長。発想。今まで一般人として生きてきた啓太とは明らかに何かが違っていた。

(くっ、私としたことが・・・不覚!でも甘いです、啓太様!
 私は毒と薬のスペシャリスト!気化性のある毒を使え・・・ば?)

心はすばやく薬を調合しようとするが、なかなかそれがうまくできない。
いや、それ以前に身体がうまく動かせない・・・?
すると啓太は底意地の悪い笑みを浮かべてつぶやいた。

「悪いな。さっきのしかかったとき、オマエの自慢の爪をドサクサ紛れに突きたてた」
「――――ッ!?」

自分の毒で動けなくなるという、あまりにバカげた話に心は愕然とする。
毒と薬のスペシャリストが、自らの毒で動けなくなるという事態に、心のプライドはズタズタにされる。
だが怒りに狂った主は、彼女に打ちひしがれるヒマすら与えない。

「今までよくもまぁ、好き勝手にやってくれな?
 そんなに遊んでほしいんなら、好きなだけ遊んでやる。
 ・・・2度とこんな悪ふざけができないようにな!」
「―――ッ!?」

そしてついに怒れる啓太のオシオキが心に執行されたのであった。

――あッ、ああッ!?あーッ!!

心が作った秘密の部屋の入り口で、心の悲鳴が上がる。
心だけではない。彼女に迎合していたウエイトレスの声も次々と上がってきた。
そんな様子を部屋の隠しドアから覗き見る2つの影があった。
夢と刀だ。
啓太の不在に気がついた刀が、説教に夢中になっていた夢に報告。
そこで自分がこころの誘導に引っかかったことを知り、ウエイトレスたちを徹底的に締め上げた。
しかしそれも空振りに終わり、もうなす術がないと思われたその時、夢はとんでもない行動に出た。
店内のいたるところの糸を伸ばし、隠し通路や隠し部屋を探し始めたのだ。
さすがに一般人のいるフロアは刀に止められ、断念したが。
その結果、店内をしらみつぶしに探した結果、この隠し部屋の存在に気がついたというわけだった。
ちなみに中の様子はすでに収集済みというおまけつきだ。
小説ならではのご都合設定である。小説万歳。

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