世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 34
「私の能力は毒と薬の精製だけではありません。
自らを巣として飼っている、かわいいこのコたちを手足のように扱うことができるのです。
でなければ薙様ほどの実力者に気づかれずに毒を盛る、なんてできませんわ」
なるほど、小さな虫なら気にも留めない可能性はある。
しかしファミレスで虫が飛んでいるのに平然としているのはいかがなものだろうか、ウエイトレス?
「では難しいお話はここまでにして。
そろそろ歓迎会を始めさせていただいてもよろしいでしょうか?
私も料理役の方々ももう待ちきれないので・・・。
それではまずは当店のオードブル、じっくりと味わってくださいね?」
啓太の返事を待たずに合図を送ると、料理役の空たちに何やら注射を打つ。
するとボンヤリと虚空を見ていた瞳が、どろりとにごって啓太を見つめる。
「あ・・・はぁっ♪啓太・・・さまぁ♪」
「ふうぅ・・・っ!ふあぁ・・・っ!」
「ああ、啓太様・・・啓太さまぁっ!?」
ゾンビが発情したらこんな感じなのだろうか。
ひどく扇情的な格好なはずなのに、妙に怖い。
心は人間形態に戻ると、啓太の拘束具をいじってベッドから解放する。
しかし解放したのはベッドだけ。
拘束具は啓太の背後で、しっかりと両手を縛っている。
我が身の危機を敏感に感じ取った啓太は、半ば怯えながら心に訊ねた。
「な、何しやがったんだ?」
「ご自分のお気持ちに素直になれる薬(媚薬)を少々。
さ、どうぞ心行くまでお召し上がりください♪」
ドンッ!
その瞬間、啓太は心に突き飛ばされた。
完全に不意を突かれた啓太は、バランスを失い・・・。
べちゃっ・・・♪
空の横たわる料理に突っ込んだ。
空の身体は生クリームとチョコ、イチゴでコーティングされて身体のいたるところから甘い身体をさせていた。
「うれしい・・・啓太様ぁ・・・っ!
1番最初に私を食べてくれるんですね?」
「むごっ!?むごぐ〜っ!?」
違うと啓太は空の胸の中で必死にもがく、両手をふさがれた状態ではうまく空の巨乳から脱出することができない。
おまけに全身クリームまみれだから、ヌルヌル滑っていつもより妙に気持ちがいい。
しかしそれに屈するわけには行かない。
屈したが最後、精液の一滴までとことん搾り取られるだろう。
まして空たちが正気を薬で失っているだけに、それにかこつけて抱くようなマネはためらわれた。
とにかくここから脱出しなければ。
啓太は脱出を試みようと、空の胸の中でじたばたと暴れる。