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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 314

「リベリオン様」
そこに1人の男が現れた。いや、体型からみて鍛えこんだ男性なのだが、虎頭に、虎縞模様の毛の生えた体。
誰だと啓太は思った。男性怪人は外での勤務なので、啓太もあまり顔や名前を把握していないのだ。
彼は啓太の前で直立不動になると発言した。
「ワータイガーの虎岡 剛と申します。現在ヒーロー協会はこの三方町一帯を残存戦力にて包囲し、警戒を継続している模様です。」

ゴオオ・・・・
上空からジェットの爆音が轟く。
ようやく動き出した自衛軍の戦闘攻撃機F/A−88の4機編隊が上空を警戒しているのだ。
「ヒーロー達の損害も馬鹿にならない模様で、軍が現在この地域一帯の広域警戒を行なっております。まもなくここにも陸軍兵も現れると思われます。」
「そうか。わかった。有り難う。」
啓太の返答に虎岡は一礼した。

いつの間にか、上空の爆音が増えている。
最新鋭のF/A−88戦闘攻撃機だけでなく、その先代で同じく大阪航空工業が開発したF/A−60戦闘攻撃機や、それと同時期に日米共同開発されたF−2支援戦闘機の姿も見られた。
軍もいつになく力を入れているようだ。
元々する気はなかったとは言え、これ以上の長居は危険だろう。
思わぬ形で目的を果たした啓太は、早々にこの場を後にすることにした。

「よしッ!それじゃあ全員退却!
 これ以上無駄な犠牲者を出さないよう、くれぐれも気をつけてくれよっ!?」
「「「「ははッ!!」」」」

啓太の命令に怪人たちは元気よく応え、戦利品である大量の捕虜を片手に住処へと帰っていく。
そんな中、啓太は万が一のことを考え、クロックに質問する。

「クロック!地上に出ているのはこれで全部か?」
「いいえ。いくつかに分けて近くの出入り口に集めています」
「じゃあ、そいつらにもすぐ退却するように連絡しろ!
 もうこれ以上誰かが傷つくなんてゴメンだからな!?」
「かしこまりました。それでは啓太様もすぐにお戻りください。
 御身に何かあっては、我々は生きていられません」
「・・・わかったよ。おまえらもすぐに戻って来いよ?」
啓太はクロックの言い方に、若干嫌悪を見せたが。
クロックの言うとおり、エレメンタル・ガーディアンとともに基地へと戻っていった。
残ったクロックは基地に戻ろうとする啓太を見送りながら、啓太のこと、夢のこと、ダークギルドのこと、さまざまなことに思いをはせた。

「やれやれ、問題は山積みだな。
 何事も自分の思い通りにはいかない、か」

だがその表情は言うほど暗くはない。
むしろ不敵な笑みを浮かべてすらいた。

「だが、だからこそ腕のふるいがいがあるというもの。
 おもしろいものも見れたことだし、な」

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