PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 309
 311
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 311


「ななな、何だ何だ!?」

再び顔に表情が戻った啓太が、自分の身体に起きた数々の奇跡に驚愕の声を上げる。
当然だ。
いくら自分の身体が改造されていて、それを扱えるように特訓したとは言え、所詮は付け焼き刃。
それが突然夢たちのようなマネができるなんて、奇異にしか映らないだろう。
簡単にパワーアップしてそれを使いこなせることを平然と受け入れられるなんて、マンガだけの話である。
混乱する啓太を落ち着かせたのは、彼と1つとなったパラサイトの声だった。

(落ち着いてください。
 今の啓太様のお身体は、私の身体を組み込むことで身体能力が飛躍的に上昇しているのです)
「ひひひ、飛躍ぅっ!?」
(はい。加えて先ほどは天井に激突しそうでしたので、失礼ながら私のほうでお身体を操作させていただきました)
「ちょ、ちょっと待て!
 おまえの能力のことはよくわかってるけど、これって強化されすぎだろ!?
 一体何なんだよ、このハイスペックは!?」

確かにパラサイトの能力には、寄生した対象の肉体強化と強制操作がある。
しかしその出力は今までとは比べ物にならないくらいに高い。
明らかに啓太の知っているパラサイトの能力の範囲を超える力であった。
だがパラサイトが啓太の知る以上の力を出せるのは、至極当然のことだ。
なぜなら今の彼女は、あの別人のようになった夢の手によって、期せずして再改造を受けていたのだから。
読者諸君は覚えておいでだろうか?
夢が、啓太を治療したあのときのことを。
そう。すっかり忘れられていたが、あの時啓太の中にはパラサイトが入っていたのである。
もちろん、逃げようとすれば逃げられたが、啓太の生命維持に必死だった彼女が、主を見捨てるなんてできるはずもなく。
啓太と一緒にあの繭に包まれてしまったのである。
その結果、パラサイトはより深いレベルで啓太と1つになることが可能となり。
このような劇的なパワーアップをした次第だ。
彼女の性格が変化したのも、おそらくその辺が関係しているのであろう。
啓太がビックリするのも当然である。

(今までよりさらに深いレベルで結合した結果です。
 不都合でしら、また以前のレベルまで戻しますが?)
「う・・・」

淡々と答えるパラサイトに啓太は言葉に詰まる。
確かにこのようなハイスペックは、自分が人間ではないと言っているようで落ち着かない。
しかしこれなら行けると思っていたあの身体能力でも、怪人に歯が立たなかったのも事実だ。
啓太としては、またあんな死ぬと思うほど痛い目に遭うのはごめんであった。

「と、とりあえず少しずつ慣らす感じでお願いしマス」

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す