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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 32


「ここは・・・?」

啓太は状況を把握しようと身体を起こそうとした・・・が。

ギシィッ・・・!

「おわっ!?」

両手にかけられた皮のベルトに引っ張られて啓太は再びベッドに倒れこむ。
見れば両手のベルトはベッドにくくりつけられている。
おそらく啓太が気絶している間に縛ったのだろう。
外そうにもベルトは錠前で固定されており、取り外すことができない。
やむを得ず、啓太は『奥の手』を使うことにした。

「彩夏!おい、彩夏!聞こえるか!?
 出て来てくれ!おい、彩夏!?」

啓太の奥の手。それは普段護衛として、啓太の体内に寄生している彩夏の力を借りることだった。
彩夏の能力は生き物に寄生すること。
単体ではそれほど強くもないが、啓太を解放するくらなら役に立つと思ったのだ。

シーン・・・。

しかし体内にいるはずの彩夏は出て来ない。
体内に潜っている間は話せないとは言え、声は聞こえているはずなのだが・・・?

「彩夏?おい、彩夏!?」
「ムダですよ、啓太様。彩夏様はもう啓太様の体内にはおりません。
 私の力で啓太様の身体からご退出させていただきました」
「!!おまえ・・・!!」

顔を上げてみれば、そこには先ほどの店長がバスタオル1枚の扇情的ないでたちで歩いていた。

「ご退出って・・・彩夏に何をした!?
 寄生中の彩夏を引っぺがすなんて物理的に不可能だって夢が言ってたはずだぞ!?」
「うふふ・・・っ。確かに力ずくでは無理でしょうね。
 でも、うそじゃありませんよ?」

店長は無邪気に微笑むと、パンパンと手をたたく。
すると部屋の入り口から、3人のメイドがそれぞれワゴンを押しながら入ってきた。
そのワゴンの上にいるのは・・・!

「・・・ッ!?彩夏ッ!?空ッ!?薙ッ!?」

そこには自分の体内で護衛していたはずの彩夏だけでない。
同席していた空、ウエイトレスとして働いていた薙までが、巨大な皿の上で料理のようにその身を横たわらせていた。
目を開いているので意識はあるようだが、どうも様子がおかしい。
みな一様に目がうつろで、呼吸が荒い。
口からはよだれが一筋流れている。

「ちょっ・・・オマっ、いったい何をした!?
 仮にも味方にやりすぎだろーがっ!?」
「申し訳ありません。
 夢さまに報告され、啓太様への歓迎会を妨害されたくなかったので」
「それじゃ薙はどーなんだよっ!?」
「薙様は『そんな不意打ちみたいな真似は好かん』と言って聞かなかったので。
 でも今はこの通り、すっかり聞き分けがよくなりましたわ♪」

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