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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 308


「・・・!啓太様!いけません!早くお部屋にお戻りください!」

そんな啓太を戻そうとしたのは、たまたま彼の様子を見に行こうとしていた医療部に所属する看護師ルックの怪人であった。
彼女は呆然とする啓太を無理やり部屋に押し込むと、今見たことを忘れろと言わんばかりにしゃべり始める。

「啓太様!今のあなたのお身体はケガこそ消えていますが、致命傷と言ってもいいケガをされていたのですよ!?
 今は無茶をせず、ベッドの上で横になってくださいっ!
 ああ、もう、あなたも何をいつまで寝ているのっ!?
 啓太様に張り付くならしっかり見張っておきなさいっ!?」
「んぶッ!?ふ、ふえぇっ!?」

看護師怪人に邪魔だと言わんばかりにベッドから放り出されたレックスは、そこでようやく目を覚まして何事かと首を振って様子をうかがう。
だがレックスが再起動するより早く、啓太のほうが我に返ってしまった。
彼は弾かれたように看護師怪人の肩をつかむと、怒涛のごとき勢いで彼女を問い詰めた。

「おい!オレが気絶している間に何があった!?
 夢やクロックが被害を最小限にとどめるための作戦をやってくれてたんじゃなかったのか!?」
「お、お2人は啓太様とケガ人をこちらに運ぶと、すぐさま戦場に戻られましたっ・・・!
 ち、地上で戦況に何かあったのかと・・・っ!」
「『何か』って何だ!?」
「そ、それは私にも・・・っ!」
「本当に知らないのか?『知っていたら包み隠さず答えろ』っ!」
「知りませんっ!わ、私たち医療部は今までずっとここで治療していて・・・!
 ほ、本当に知らないんですっ・・・!」

強制命令権を使った質問にも知らないと答えるナース灰燼の言葉に、これ以上何も引き出せないことを知った啓太は、いらだたしげに彼女を解放する。

(夢だけでなくクロックまで戦いに行ったってことは、何かよくないことでもあったのか!?
 くそっ、こんなことにならないようにしたくて、上に行ったってのに・・・!)

とにかく今は上で戦っているみなを引き上げさせなければ。
今でさえこれだけ重傷者が出ているのだ。
早くしなければ本当に死人が出る。いや、もう出ているかもしれない。
他人がどうなろうと、それは啓太の知ったことではない。

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