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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 307


2人はそんな頼もしい言葉を残すと、バルキリーが何か言う前に敵軍へと突っ込んだ。
2人が暴れるたびに吹っ飛ぶ敵軍を見ながら、バルキリーは苦笑しながら、近くの部下にケガ人の回収を命じるのであった。
そこには先ほどまでには見られなかった、晴れやかな表情が浮かんでいた。

――――

「ん・・・んぅ・・・ハッ!?」

その頃。早々とレックスにやられてしまった啓太は、医療部のベッドの上で驚いたように飛び起きたところであった。
仮にも組織の長ということで、戦場病院さながらの状態でありながら、啓太は1人だけ静かな個室をあてがわれていた。
そんな中、啓太はなぜ自分がこんなところにいるか、まだ理解できずにいた。

「ここ・・・は?オレ・・・地上にいたはず、じゃ・・・?」

そこまで考えて、啓太の脳裏に気を失う直前の記憶が蘇る。
レックスに自慢の鎧をあっさりと破られ、死に掛けたこと。
それを見た夢は別人のようになって、自分に糸を巻きつけ始めたこと。
そこまで思い出して、啓太はあわてて自分の身体に手を当てる。
しかしそこにあるはずの傷はどこにもない。
代わりにベッドのそばで妙に見覚えのある顔をしたイケメン風の女子が目を真っ赤に晴らして眠っていた。
それを見てレックスのこと気づかないどころか、たくさんいる組織の怪人と勘違いするあたり、啓太はかなりの大物だと思う。

(夢・・・なわけないよな。ここ、どう見てもオレの部屋と違うし)

ではなぜ自分の身体に傷跡がないのか。
なぜ自分はこんなところで寝かされているのか。
啓太はそれを知るために、ベッドから下りて個室の外に歩いていく。
そこで見たものは。

「オラそこ!後がつかえているんだ、診察くらいちゃちゃっと済ませろッ!」
「ああぁ・・・!足・・・私の足がぁっ・・・!」
「大丈夫ですかっ!?すぐに治療しますから、気をしっかり持ってください!」

野戦病院さながらに診察と治療に明け暮れる医療部とおびただしい数のケガ人たちであった。
初めて目の当たりにする戦場の犠牲者たちの姿に、さすがの啓太も先ほどまでの疑問を忘れて、その空気に飲まれてしまっていた。

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