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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 304

「2重スパイか。『調停者』にしてはなかなかおもしろいことをするね。
 いや、たまたまそうなっちゃったのかな?」
「『悦楽者』。さすがにここでそのことを口にするのはやめてください。
 どこで誰が聞き耳を立てているか、わかったものではないのですから」

さすがにこれには苦言を呈した翔影に、『悦楽者』はゴメンゴメンとまったく誠意の感じられない口調で謝罪した。
そう。この翔影という男、その本当の上司は鬼瓦でもなければ大塔寺でもない。
彼が仕えている本当の上司。それはダークギルドの最高幹部の1人にして、もっとも穏健な幹部と言われている『調停者』と呼ばれる存在であった。
しかし翔影がダークギルド側の人間であったとすれば、1つ疑問が浮かぶ。
いくら的の信用を得るためとは言え、なぜ彼は同胞であるダークギルドの怪人たちをその手にかけたのだろうか・・・?
その答えは至極簡単だ。
彼らはそれぞれが仕えている主以外、仲間でも何でもないからである。
元々彼らは幹部たちの反則的なまでの圧倒的強さに魅せられて勝手に集まった連中だ。
共感して友好的な関係を築くものもいるが、違う主人に仕えるものが手を取り合うことなどほとんどない。
同じ主人に仕えるもの同士で殺し合いをするものがいるくらいだ。
組織と呼ぶにはあまりに稚拙であるにも関わらず、巨大な力で悪を統率する組織。
それがダークギルドという組織であった。
だが、その稚拙な組織のダークギルドにヒーロー協会ひいては世界は長年に渡り翻弄され今日に至る。


「冗談だからそんな顔しないでよ。
 他の誰かにバラしたりしないから安心して。
 今バラしたところでおもしろみなんか、ほとんどないし、『調停者』を怒らせたくもないからさー」

言いたいことは山ほどあるが、言うだけ無駄だし、命にも関わるので、翔影としてはその言葉でよしとするしかない。
あきらめて他のことを聞くことにした。

「・・・了解しました。
 ところで『悦楽者』。先ほどあなたは『調停者』から言われてきたとおっしゃいましたが・・・。
 『調停者』はこの戦いを止めろとおっしゃったのですか?」

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