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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 303


「くふっ・・・くふふっ♪くふふふふっ♪
 おもしろいもの、見ぃーつっけたっ♪」

全身赤い服を着た少年が楽しそうに笑ってはしゃいでいる。
否、それは赤い服などではない。
血だ。おそらく足元に転がる原型すら留めていないものたちのと思われる血で、全身赤く染まっているのだ。
おそらく目の前の少年に文字通りのおもちゃにされて殺されたのだろう。
それこそ死んだほうがマシ、というような目に遭わされた上で。

「最初は『調停者』に言われて戦争ごっこを楽しもうと思ったけど、もっとおもしろいもの見つけちゃった!
 くふふっ、た〜のし〜いなぁ〜♪
 『探求者』が聞いたら、きっと目の色変えて食いつくだろうなぁ〜♪
 あ、『支配者』や『無能者』に教えてもおもしろいよね〜・・・」

子供が友達に自分だけが知っている秘密を教えてあげようとするかのごとく、1人想像しながら笑っている。
そんな少年を相手に、翔影は逃げるでも声をかけるでもなく、黙って彼の好きにさせている。
うかつに刺激して機嫌を損ねようものなら、自分も彼の足元の血の海の仲間入りをすることになるだろうから。
彼・・・『悦楽者』はそれだけの実力を持っているのだ。
ダークギルドに所属する組織は数多いが、その幹部の情報を持っているヤツはほとんどいない。
幹部によっては調べようとしただけで殺されてしまった、なんて話があるくらいだ。
そんな人格破綻者もいる組織ダークギルドに、数多くの組織が所属している理由は至極シンプルなものだ。
圧倒的に強いから。
たとえ人格破綻者でも、その傘下にあるというだけで十分メリットがおつりが返ってくるというわけだ。

「・・・さて。そろそろ何か言ってくれないかな?
 1人でしゃべってるとバカみたいじゃない?」
「ずいぶんとお楽しみのようですが・・・。
 いったい何を見つけられたのですか?」

その言葉に『悦楽者』はにんまりと顔を喜色でゆがめて『内緒〜♪』とだけ答えた。
どうやら今の質問で機嫌をよくしたようだ。
実にわかりやすい性格である。
翔影が内心で思わずため息をつく中、『悦楽者』が意味不明の質問をしてくる。

「それで?そっちは今、どこでどんな名前で何をしているの?」

その質問に、翔影はピクリと小さく、しかしはっきりと反応をした。
無理やり自己紹介しろみたいな質問に、一体彼はなぜこのような反応をしたのだろうか?
翔影は一瞬返答に迷ったようだが・・・。
すぐに『悦楽者』の質問に答えた。

「・・・翔影。今はヒーロー協会にて5英雄の1人大塔寺の指示の元、鬼瓦の下についてその動向を探っています」

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