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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 4

「・・・謹んでお断りさせていただくわ」

ただでさえ緊張感漂う空気が、言葉を交わすごとにますます緊張の度合いを高めていく。
先に動いたのは、翔影のほうだった。

「仕方ありませんね。それならば力ずくでもご同行いただきましょうッ!」

ビュオッ!!

「!!」

瞬間、翔影の左の肘から先が消え、いくつもの黒っぽい影が女に襲いかかる。
翔影が手に隠し持っていた暗器(隠し武器)を投げつけたのだ。
女は投げつけられたものの正体を手裏剣と見抜くと、すばやい動きでそれらを避けきる。
しかし手裏剣を避けきった瞬間、突然目の前に壁のようなものが現れた。
翔影が手裏剣に気をとられたスキを突いて、一瞬で間合いを詰めたのである。
男の左手に握られたナイフが一閃、女の首に目がけて振り抜かれた!

「くぅっ!?」

女はその一閃を背中から倒れこむことで、即死の一撃を回避。
しかしそれにより、相手に絶好の隙を与えてしまう・・・はずだった。
女の身体は倒れる途中で急停止。
足を地面から離し、その体勢から強烈なキックを放つ。
完全に不意を突かれた翔影は足を蹴り払われるも、驚異的な身体能力で倒れるという最悪の事態を回避して女から距離をとる。
先ほどのありえない動きは何だったのか?
翔影は内心驚きつつ、冷静の仮面をかぶったままで女を見やる。
すると女の腰辺りから、先ほどまでなかったものが垂れ下がっているのが目に入った。
それはシッポだった。それもサルやネコのような細長いものではない。
鱗こそないが、それはワニのような、太くて長いものだ。
翔影はその形状から彼女が何の怪人なのかを悟った。

(・・・カンガルーの動物怪人か!)

カンガルー。オーストラリアに生息する有袋類。
大地を跳ね回る足から繰り出される蹴りは力強く、そのシッポは短時間ながら己の体重をも支えることができる。
そこから彼は冷静に敵の能力を推測する。
今までのやり取りから、彼女の得意は肉弾戦。
その戦い方は人間のそれに極めて近いもののはず。
何か特別な武器があればそれを使うはずだし、何より先ほどの首への一撃も防がずに回避に徹していた。
そのことが何より翔影の推測を裏付けている。
一方の女は、早々にシッポを使うことになったことに少々焦りを感じていた。

(まいったなぁ・・・。こんなにも早く正体を見せることになるなんて)

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