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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 299


「やめろ、レックス!啓太様を悲しませるつもりか!?」

しかしそれを寸前で止めたのは、満身創痍のケイロンだった。
全身ボロボロでほとんど状況についていけなかった彼女だが、それでも今のレックスが啓太に逆らえないことだけは理解できた。
だが現状であのレックスを止めることは、命を賭けた行為と言わざるを得ない。
もし予想が外れてしまえば、自分だけでなくこの場にいる全員がレックスに殺されてしまうだろう。
ケイロンは内心の恐怖と動揺を悟られまいと気丈にふるまいながら、こちらを見るレックスに怒鳴りつけた。

「その手を下ろせ、レックス!
 啓太様は無用な争いや殺生を好まない!
 もしその手を血で汚せば、啓太様を苦しめるだけでなく、啓太様との別れを意味することになりかねんのだぞ!?」
「・・・ッ!?」

その言葉にレックスは明らかに反応した。
今まで歩いてきたあらゆる戦場でも感じられなかった恐怖と緊張がレックスの身体を縛り、心を凍らせる。

「・・・ッ、〜〜〜〜〜〜ッ!!」

だが。同時に自分をいいように改造し、操ろうとした夢を許したくないという気持ちがレックスを殺戮に駆り立てようとする。
植えつけられたプログラム。偽物の気持ち。それに逆らえない絶望と苦痛。
それらが心の中で渦を巻いて、レックスの心をさらに混沌なものへと変えていく。
だがどんなに心が動いたところで怪人は怪人。
都合のいい使い捨ての道具である本質には逆らえなかった。
レックスは振り下ろせない右手から力を抜き、黙って夢と啓太を見下ろした。
プログラムに従ったことで生まれた幸福感と、それを不快に思う感情との間で一筋の涙をこぼしながら。
それは戦闘狂集団ザウルスペクターが終わった、決定的な瞬間であった。
「はっ私はどうしたんだ?………啓太様!!これは!!」
そして、レックスが大人しくなった直後に夢が目を覚ました。寝ている最愛の主啓太を見付け女体化したレックスに驚く。
「良かった夢様、目が覚めたのですね。」

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