PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 296
 298
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 298

それを何の機材もなく、こんな短時間でそれだけのことをこなせるなんて、まさに夢のような話であった。

「心と身体をいじくられて怒る気持ちもわかるが、私に手を出していいのか?
 私を殺せばこの男は悲しむし、すぐそこは敵がいる。
 私の相手をしているヒマはないんじゃないか?」
「〜〜〜ッ!こ、このっ・・・!くそったれがあぁぁッ!?」

レックスは忌々しそうにそう叫ぶと、きびすを返してゴルディアースに襲いかかった。
ゴルディアース(鬼瓦)はレックスの猛攻をさばくが、なかなか反撃の糸口がつかめず、一進一退の攻防が続く。
信じられないことの連続で、動きに精彩を欠いているためだ。
道具として生きることしか知らない、怪人のありえない行動。
設備を使わない怪人の改造と洗脳。
ヒーロー協会でも名前を知られている怪人の敗北。
信じられないことの連続で、歴戦の英雄たるゴルディアースにも動揺を隠し切れない。
今は目の前の敵を倒すことに集中しなくてはならないのに。

(あの青年と女怪人・・・。いったいあの2人は何者だ?)

そんな何度目かの疑問が浮かび上がってきたところで、ゴルディアースは後退すると同時に何かを投げた。
それがスタン・グレネードだとわかったのは、すでに爆発した後だった。
大音量と閃光が辺りを包む。
そして光が治まる頃、そこにゴルディアースの姿はなかった。
自分の精神状態を考慮して、戦闘を避けたのだろう。
敵ながら見事な判断としか言いようがなかった。

「逃げた・・・か。くぅッ!?」

敵の逃亡を確認した夢が、苦しそうに頭を抑えてうめいた。
夢の頭の中でいくつものノイズが走り、自分という存在があいまいになっていく。
髪の毛が、瞳の色が、徐々に元の色に戻っていく。
どうやら啓太を助けたことで、アパレント・アトムの夢に戻りつつあるらしい。
夢は必死に自分を維持しようと抵抗していたようだが、やはりどうにもならなかったらしい。
元に戻ると同時に意識を失い、倒れてしまった。
そしてそのチャンスをレックスが見逃すはずがない。
ゴルディアースが消え、厄介者を始末する絶好の機会を得たレックスは、これ以上ない歓喜の笑顔で夢を殺しにかかった!

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す