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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 294

まさか高速移動中に軌道を変えるとは思っていなかったプテラは、その思い込みによって自らのコピー技を食らう羽目になったのである。

「ク・・・ククッ・・・げほげほっ!」
「こ・・・こら!笑ってないでおとなしくしていろっ!」

血反吐を吐きながら笑い出したプテラに、刀は驚いて注意する。
だがどんなに注意されてもプテラは笑うのをやめない。
やめられなかった。
物まね物まねと敵を侮った挙句がこれだ。
今の自分ほど笑えるものが他にあるだろうか?
ひとしきり笑った後、プテラは1つ大きくため息をついた。
重傷の身体で笑ったものだから、ちょっと疲れてしまった。
せっかくおぶってもらっていることだし、ここで休むことにしよう。
プテラはそう決めると、重くなったまぶたをゆっくり閉じた。
今日はとてもいい日だ。自分を打ち負かすような、強い相手と戦うことができた。
本当に、自分は幸せ者だ―――。
プテラはそう思いながら、深い、深いまどろみの底へと意識を沈めていくのであった―――。

――――

刀とプテラの戦いが決着したその頃。
ケイロンは自らも足を失うほどの大ケガをしているのも忘れ、呆然と目の前の光景に見入っていた。
彼女の視界に移るのは、廃墟と化した町にたたずむ2つの繭。
そして啓太の眠る繭の前でじっとたたずんでいる夢。
そこにレックス・ライダーの姿はない。
レックスはすでに夢に敗れ、2つ目の繭とされていたのだ。
後にケイロンは語る。あのときの夢の実力はあまりにも圧倒的であったと。
戦闘体勢に入った2人。
レックスは先手必勝とばかりに無数の火の玉を放ち、火の玉と本体との同時攻撃を仕掛けた。
だが。その攻撃はどちらも夢に届くことはなかった。
火の玉は突然何もない空間で次々と弾け。
レックスはリモコンで一時停止でもさせられたみたいに、動けなくなっていたのだ。

「く・・・ああッ・・・!こ、れはっ・・・!?」

脱出しようとレックスは必死の抵抗を試みるが、その動きはまるでスローモーションだ。
しかもその動きはどんどん鈍くなっている。
たぶん夢の仕業なのだろうが、いったいいつ、どんな手段でレックスの動きを封じたのだろうか?
そんなそぶりなど、まるでなかったはずなのに。

「無駄だ。今の貴様は我が不可視の糸によって縛られている。
 クモの巣にかかった虫と同様、そのまま糸に絡め取られてしまうがいい」

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