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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 293

プテラはそれを見て、一瞬驚いたように目を見開いたが。
もはや戦況を覆せぬと悟ったのか、その目から急速に戦意が失われていった。

「・・・まだ、生きているようだな。
 さすがは武闘派の恐竜怪人。その生命力も半端ではないということか」

まだ息があることに安堵のため息をついた刀は、懐から通信機を出して救援を呼ぼうとする。
しかし取り出した通信機がボロボロに壊れているのに気づき、それを放り捨てた。
刀がボロボロなのは、プテラとの斬りあいによるものばかりではない。
プテラに倒すきっかけとなった、あの物まね技の余波によるものだ。
自らを弾丸にして敵を貫く技『デッド・チャージ』。
しかし必殺技である以上、その反動もかなり大きい。
体力の消耗もさることながら、技の発動中は激しい空気抵抗とGが全身に襲い掛かるのだ。
プテラはそれを鍛えられた肉体と重厚な鎧で防いでいたようだが、鎧のない刀は物まねとは言え、プテラ以上の負荷を受けてしまったのであった。

「仕方ないな。こうなったら私が直接基地まで運んでやる。
 そこで治療してやるから、それまで勝手に死ぬんじゃないぞ」

連絡手段を失った刀は、仕方なしとばかりにプテラを運ぼうとその手を伸ばす。
プテラは敗者として、黙って刀のされるがままになっていたが。
何かお礼でも言いたいのか、背中におぶられたプテラは震える唇で必死で何かを言おうとする。

「・・・ぅ、ぁ・・・ッ!?が、かはッ!?」
「こ、こら無茶するな!?
 おまえが死んだら、啓太様に何と申し開きすればいいんだ!?」

いきなり血反吐を吐いたプテラに、刀はあわてて黙らせようとする。
あまりの動揺に、敵の前で啓太の名前を出してしまうほどに。
しかしプテラにはどうしても譲れないことらしく、まるでやめようとしない。

「ああ、わかったわかった!
 聞きたいのはおまえのあの技をどうやってかわしたかだろう!?
 答えてやるから、これ以上無理するなっ!?」

大体プテラの言いたいことがわかっていた刀は、あせりながらもその質問に答えてやることにした。

「なんてことはない。
 おまえが氷の散弾を撃つ直前に、方向転換しておまえの横に回っただけだ」

方向転換?しかしあの時刀は方向を変えるそぶりなど見せていなかったのでは?
そこまで考えてプテラは初めて気がついた。
刀の足元、正確にはその靴とズボンのすそが原形をとどめぬほどに破損していたことに。
そう。武器内臓型の怪人である刀の武器は、何も腕だけに仕込まれているわけではない。
あの時彼女は、地面を蹴ると同時に足に仕込んでいたのであろう、バズーカか何かを使って無理やり進路を変更したのである。

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