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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 292


プテラが言い終わるよりより、早くその口から氷の塊が散弾のように飛び出てきた。
その発砲の反動で勢いの弱まっていたプテラの身体は全身を停止し、それどころかそのまま背後に下がっていく。
これがプテラの必殺技『デッド・チャージ』の真骨頂であった。
この技は単なる突撃技などでは決してない。
技をどれだけ研究していても回避できない、必中の奥義なのである。
彼が最初に見せたのは通常のAパターン。
何の小細工もなく敵に突撃して粉砕する技だ。
そして今のが氷の散弾による牽制で敵をひるませてから突進するBパターン。
Aパターンを知った敵や相打ち覚悟で攻めてくる相手にはこの上なく効果的な技である。
プテラは1つの技に2つのパターンを組み込むことによって、最強の必殺技へと昇華したのである。
そして刀が氷の散弾でひるんだところで本命の攻撃が命中する・・・はずだった。

「なっ・・・!?」

だがそこにはいるべきはずの刀の姿はない。
信じられない出来事に、さしものプテラも攻撃することを忘れてしまった・・・その時!

ドンッ・・・!

「なっ・・・!?」
「スキあり、だ。
 自分だけが奥の手を持っていると思ったのは浅はかだったな・・・!」

刀の刃が、背中からプテラの身体を貫いた。
いったいどうやってデッド・チャージをかわしたのか?
プテラがそれを聞くより先に、全身にすさまじい衝撃が伝わり。
吹き飛ばされたプテラはなす術もなく地面にたたきつけられた。

「がはっ・・・!?ごぽっ!?はっ、はぁッ・・・!?」

地面にたたきつけられたプテラはすぐさま起き上がって追撃に備えようとするが、身体がまったく反応しない。
それどころか持ち主の意思を拒絶するかのように、口からは大量の血を吐き出し、呼吸すらままならない有様だった。
起き上がることすらままならない今のプテラは知る由もないが、今のプテラは腹が半分くらいない状態だ。
刀がプテラの身体を貫いた直後、デッド・チャージの真似事でプテラのわき腹半分を抉り取ったのである。
それでも生きているのは、刀の技が付け焼き刃のモノマネ技だったこと。
そして激戦を生き抜いてきたプテラの強靭な身体などさまざまな要因が重なって起こった、奇跡のようなものだった。
自分がすでに敗北していることも知らず、必死にあがこうとするプテラ。
そこにやってきたのは全身ボロボロの勝者、刀その人であった。

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