世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 291
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「貴様・・・!私をナメているのかっ・・・!?」
同時刻。いまだかつてない侮辱に、プテラ・ナイトは静かな怒りをあらわにしていた。
なぜなら。刀の取った構えは自己流にアレンジこそされているものの、自分の構えと瓜二つだったのだから。
フェンシングのような構えで金色に光る刀を突き出し、空気砲のある左手を右手の刀の反対側に向けている。
おそらく左手の空気砲を、プテラの左肩のジェットの代わりにするつもりなのだろう。
しかしプテラが激戦に次ぐ激戦の中で編み出した技を、付け焼き刃の物まねで対抗しようなど愚作もいいところだ。
刀だって自分のやっていることの愚かさをわかっているはずなのに、構えを解く気配がない。
本気でこれで対抗するつもりらしい。
「・・・いいだろう。それならば好きにするがいい」
刀の意思を理解したプテラの顔から表情が消える。
怒りが消えたのではない。
見よう見まねの自分の技で自分を殺そうとする愚か者を、全力で持って殺すことに決めたのだ。
キ、イイィィィ・・・!
プテラの左肩のジェットエンジンが唸りを上げる。
それに合わせて刀の空気砲も弾丸の生成を始める。
砲身に取り込んだ空気を圧縮し、さらに多くの空気を取り込む。
限界まで圧縮された弾丸は熱を帯び、今にも暴発してしまいそうなほど砲身を赤く染める。
(フン・・・!付け焼き刃とは言え、そこまでまねできたことはほめてやる。
だがこの一撃、先ほどと同じだと思うなよ・・・?
この技は、貴様が思っている以上に奥が深いものなのだ・・・!)
そして準備がほぼ同時に完了する。
一瞬の間。そして次の瞬間には2人は同時に攻撃を仕掛けていた。
だが最初に罠を仕掛けたのはプテラのほうであった。
ほぼ同時に空気砲とジェットエンジンを始動させた2人であるが、プテラが動かしたのはほんの一瞬だけですぐにエンジンを切ってしまったのである。
お互いすでに前に出ている状態で、自ら勢いを削ぐなど自殺行為以外の何者でもない。
自ら刀の的になるとはどういうつもりなのであろうか?
その理由はすぐにわかった。
突っ込んでくる刀に対し、惰性で前進してくるプテラの槍、すなわちプテラノドンの顔が突然その口を開いたのである。
「『アイシクル・ショット』!」