世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 282
(―――まさか。あの方が、自分を助けてくださったのか!?
バカな!啓太様にこんなマネができるわけ―――!
い、いやそれ以前に!護衛はついていないのか!?
啓太様をこんな最前線にお連れするなどっ!!)
そして振り返った夢と邪魔者を探していたレックスは、ほぼ同時に探し人を発見した。
2人の見つめる視線の先。そこには馬の怪人ケイロンと。
なぜか盾を投擲したであろう体勢のまま、驚いた表情を浮かべる啓太の姿があった。
「投擲成功。お見事です、啓・・・リベリオン様」
「何が成功だ!?もう少しで夢に命中するところだったぞ!?
パラサイト!おまえ、ホントにサポートしたんだろーなっ!?」
(し、しましたよ、啓太様ぁっ!
あそこが夢様をお助けするベストポイントだったんですからっ)
「ホントかっ!?
どさくさまぎれに殺っちまおうとか、そーゆーことを考えてたわけじゃないんだろーなっ!?」
ケイロンの言葉に再起動した啓太は、助けるつもりが危うくとどめをさしそうになった恐怖から2人にあらん限りの言いがかりをぶつけてしまう。
それにしてもイブとクロウの2人の姿が見えないが、一体どうしたのであろうか?
啓太の様子から死んだとか、行動不能になったとか、そういうわけではなさそうだが・・・。
「あーもー、こんなことならイブかクロウと組むんだった・・・!
戦闘力のバランス云々とか、おまえらに任せっぱなしにするんじゃなかったーっ!」
(あー、それ、差別発言ですよ、啓太様っ。
私たちだってちゃんと役に立っているじゃないですかっ?
撤回を求めますっ!)
「やかましい!こっちもいっぱいいっぱいなんだよっ!?」
「リベリオン様。早く夢様を助けて離脱しましょう。
イブ様たちが刀様を救出してこちらが失敗では、クロック様に会わせる顔がありません」
そう。イブとクロウは、刀を救出するために別行動中である。
移動中、イブたちが二手に分かれた夢と刀を発見したのだ。
みんな助けたいと願ってやまない啓太は、イブたちとの協議の結果、自分たちも二手に分かれて助けに行こうと、そういうことになったのである。
もっとも、まさか夢がこんなピンチに陥っているとは思わなかったが。
「お、おおっ。2人とも、サポートしっかり頼むぞっ!
つーか、ホント、マジで頼むからな!?」
(はいっ、おまかせくださいっ!)
「了解しました」
夢ですら苦戦する相手から夢を助けるなんて、正直一般人がヤ○ザからかばんをひったくるような話だ。
助ける相手が自分の身内で、パラサイトたちのフォローがなければ絶対にできない。
2人の怪人のフォローを受け、情けないヘタレのご主人様は大事な従者を守るために動き出すのであった。
啓太はケイロンにまたがり、瓦礫の山と化した町を疾駆する。