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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 29


「こちらがメニューになります。
 ご注文がお決まりになられましたら、こちらのボタンでお呼びください。
 それでは失礼いたします」

マニュアルどおりの対応をしつつ去っていく薙。
しかし彼女が厨房に消えた瞬間、厨房からキャーキャーと黄色い声が上がる。
きっとご主人様が視察に来て、興奮した怪人たちが騒いでいるのだろう。
啓太は近い将来穴が空くんじゃないかと一抹の不安を感じながらため息をつかずにはいられなかった。

「全く・・・。ひさしぶりの啓太さまに我を忘れるとは・・・教育が足りませんね。
 教育部に喝を入れた後、連中を1から鍛えなおします」
「・・・い、いやッ!?その必要はないだろうっ!?」
「そそ、そうですよ、夢さんっ!」

その言葉に驚いた啓太たちが、あわてて夢を止める。
自他共に厳しい夢が、喝を入れたらそれだけでそこの部署はしばらく使えなくなる。
さらにそんなところで1から鍛え直す、何てことになったら部署崩壊寸前まで追い詰められた連中が何をするか、わからない。
啓太たちは必死になって重大なトラウマを負おうとしていた怪人たちを救おうと夢を止めた。
よけいな犠牲者が1人でも出ないように注意しながら。

「と、とりあえずはメシでも食おうっ!
 ここまで何も食わずにいたんだしさっ!」
「・・・ふぅ。啓太さん。
 適度な優しさは美点ですが、過ぎた優しさは甘やかし以外の何物でもありませんよ?
 もう次はないモノだと思ってください」
「お・・・おぉう」

ため息をつきながら1回だけ見逃してくれた夢の優しさに、啓太だけでなく空と刀、さらに啓太の中にいる彩夏までもが安堵のため息をついた。
クロックからは何かと甘いと言われている夢だが、怒るべきときにはしっかり怒る。
それも真綿で首を絞めるように精神的に責めてくるから、一度でも彼女を怒らせた相手は2度と彼女を怒らせまいと別人のように動くようになる。
啓太たちも夢に怒られた経験者で、いわく『あんな目にあうくらいならいっそ折檻されたほうがいい』とのこと。
どんなことを言われたのかは本人たちが固く口を閉ざしているため、詳細は作者にすらわからない。
こればかりは読者諸君の想像にお任せする。
とにかくと面の恐ろしい事態を回避した啓太たちは、今日のランチを選ぼうとメニューを開き・・・固まった。

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