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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 280


――――

「ハア・・・ッ!ハア・・・ッ!」
「は・・・ははっ、ど・・・どうしたのさ?ずいぶん息が上がってるよ?」

一方。夢とレックスの戦いは泥沼の様相を呈していた。
千変万化の変身で夢を翻弄するレックス。
2本の連接剣と怪人化した手足で、正攻法と小手先の技を使いこなす夢。
力に技、戦略に戦術で対抗してきた2人の実力は、見事としか言いようがない。
しかし。腰まで泥沼に浸かっていた2人の戦いも、とうとう終わりが見えようとしていた。
夢の敗北という、絶望的な結末を持って。

「ハア・・・ッ!ハア・・・ッ!」
「どうしたの・・・?もう言い返す余裕もないくらいに疲れちゃったの?」

まだ余裕があるのか、レックスは汗だくになりながらもにっこりと笑みを浮かべる。
しかし夢には言い返すどころか、笑顔を返す余裕すらない。
それほどまでに彼女は疲弊していたのだ。

(く・・・くそっ!こ・・・この私が、ここまで追い込まれるなんてっ・・・!?)

2人の差を分けたもの。それは2人の戦い方の相性にあった。
レックスは状況に合わせた変身による格闘術であるのに対し、夢は連接剣(糸)という特殊な武器を使っている。
いくら遠近両方で戦えるとは言っても、その扱いには攻撃を当てるためのフェイントや防御のための牽制など、相当な戦略と技量が求められる。
変身こそしているが素手で戦うレックスと、体力と精神力を酷使する武器を使ってようやく互角に戦えていた夢。
どちらが先に疲労するかなど考えるまでもない。
まして今の彼女には啓太のこともある。
焦りから来る詰めの甘さも追加され、夢はレックスに追い詰められてしまったのだ。

「ふ、ふふふ・・・。
 なかなか楽しませてもらったけど、やっぱり最後は地力の差がモノを言ったね。
 覚悟はいいかい?」
「はあ・・・ッ!はあ・・・ッ!」

いいも悪いも、今の夢に返事をする余裕なんてない。
レックスはそれを肯定と受け取ると、恐竜の頭のついた右手で火球を放った。

「くっ・・・!?」

今の夢に迫る火球を破壊することも防ぐこともできない。
夢は残った体力を振り絞って火の玉を回避する。
だがレックスの攻撃はまだ終わらない。
火球を何とかかわした夢に、レックスは追撃しようとすぐそばまで走ってきていた。
今の状態で接近戦などすれば間違いなく夢の負けだ。
だが夢は。迫り来るレックスを前に、なぜか不敵な笑みを浮かべた。

ボコッ!ビシュッ!

次の瞬間。レックスの死角から2本の刀身が姿を現す。
夢はレックスに質問されたとき、動くのが精一杯だったから答えなかったのではない。

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