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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 279

あの突進の本当のすごさは、あからさまにカウンターを狙っていた刀に対して、真正面から突っ込んできたプテラの胆力そのものだ。
技に対しての絶対の自信、そして命を顧みない度胸がなければ絶対になしえぬ攻撃であった。

「我が渾身のデッド・チャージ(死の突撃)を真正面から受け、その程度の傷で済んだとは。
 この技を食らって生きていたのは、おまえが初めてだ」

だが驚いたのは刀ばかりではない。
プテラもあの技を食らって生きている、刀の実力に驚きを隠せずにいた。
あまり感情を見せないこの怪人にしてはとてもめずらしいことだ。
それだけあの技がすごいものだったのか、うかがい知ることができよう。

「しかし。今度はそう簡単には受け流せんぞ。
 その技を見せてもらった以上は、な」
「・・・っ!」

その言葉に刀が明らかな動揺を見せる。
無理もない。灯剣が封じられるということは、防ぐ手段がなくなることと同義だからだ。
確かに火剣他、灯剣以外の抜刀術でもあの攻撃を弾くことはできる。
いや、むしろその方法なら攻撃力は灯剣より上だから、確実にあの突進を受け流せるだろう。
タイミングよく当てることができれば。
しかし最速の灯剣で何とか受け流せる攻撃を、他の抜刀術で止めることは不可能に近い。
しかし避けるにしても、あのスピードでは避けようがない。
避けようとしたところで、プテラが軌道修正してしまうだろうし。
まさに八方塞がり。絶体絶命のピンチであった。

(どうする!?どうすればあの攻撃をしのげる?
 防御もダメ、回避もダメでは対処のしよう・・・が・・・!?)

そこまで考えて、刀はあることに気がついた。
なぜ自分は逃げること、守ることを前提に考えているのだと。
啓太を守るため、啓太を迎えに行くための一時一秒を争う状況ではなかったのか?
啓太の役に立たない自分など、いったいどれほどの何の価値があろう?

(そうだ、逃げるな。
 啓太様のため、目の前に立ち塞がる壁はすべて叩き壊せ・・・!)

自分が縮こまっていることに気づくと、頭が急速に冴え渡る。
そして防御も回避も封じられた刀の取った行動は。

「な・・・何だとっ!?」

あのプテラですら顔色を変えるほどの驚きの行動であった。

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