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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 274


(やっぱり・・・!あれは槍じゃなくて、この怪人の本当の・・・!)
「レーザー・スピアー」

初めて聞いたプテラ・ナイトの言葉とともに、本当の首からレーザー光線が発射された。
灼熱の光線が周囲の空気を焼きながら、まっすぐに突っ込んでいく。

ジュッ・・・!

「ぐぁッ!?」

レーザーそのものこそかわした刀であったが、いかんせん余波まではよけきれず、刀の右頬を熱せられた空気が焼いていく。
たまらず刀はプテラの頭を下から切り上げてレーザーを顔から離し、本能的に距離をとろうとする。
しかしプテラはそれを許さない。
すばやく標準を刀に合わせると、今度は何発もの短いレーザーを乱射しだしたのだ!

「くッ!?」

レーザー光の乱射にさしもの刀も動揺する。
しかし腐ってもアパレント・アトムの幹部に選ばれるほどの怪人、このままやられて終わるようなことはない。
左手の刀を鏡代わりにしたり、攻撃の軌道を読んだりして死の光の乱射をかわす。
レーザー光線が通り過ぎるたびに身体に軽い火傷ができ、焼け焦げた擦り傷のようなものが増えていく。
このままではやられてしまうのでは?
そう思われたそのとき、プテラは急に攻撃をやめて槍を元に戻した。
ここまでが挨拶代わりだったのか、それともオーバーヒートを避けたのか。
どちらにしろ、その行為は刀のプライドを著しく傷つけた。
プテラのレーザーで砂塵が吹き飛び、晴れやかな世界がのぞいているというのに、刀の心は砂塵が待っていたとき以上に暗い感情に支配されていた。

――――

一方。姿の変わったレックス・ライダーの攻撃を怪人化した右手で防いだ夢の顔も、刀と同じように苦虫を噛んだような表情を浮かべていた。
いや、その表情は決して思い通りにならなかったことへの不満だけではない。
自分の予想を超えた驚愕、そして苦痛に耐える苦悶がその顔に表れていた。

「く・・・ぅッ!」
「へえ?1番硬いカッコになった、今のボクの攻撃を受け止められる、なんてね?
 やっぱりお姉さん、すごい強いわ」

なぞめいたセリフを吐くレックスの爪は、怪人化した夢の右手の装甲を一部貫通し、ポタリポタリと赤い滴をこぼしていた。
レックスが感心する中、強い風が巻き起こり、視界を狭めていた砂塵が朝日を浴びた霧のように晴れていく。

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