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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 272

夢はあたりを警戒しながら、ふとそんなことを思った。
夢には啓太と出会う前の記憶はない。
戻そうにも自分の機能のほとんどが開発部・医療部でもお手上げのブラックボックスとなっていては戻しようがない。
もっとも夢は啓太といられればそれでいいので、特に不自由を感じなかったが。
だがこういう状況にも平然と対応できているあたり、やはり空白の部分を気にせざるを得ない。

「・・・ッ、そこッ!」

その時だった。何かに反応した夢が突然連接剣の1本を振るった。
持ち主の意を汲んで、飛んでいく剣の切っ先。
それが砂塵の壁に飲み込まれたと思うと、

「うわっ、と!?」

煙の先からレックス・ライダーの声が聞こえた。
どうやらあの視界の中、見事レックスを捕らえたらしい。
その悲鳴を聞いた夢はここぞとばかりに攻撃を仕掛ける。
連接剣は蛇のように動き、鞭のようにしなりながらレックスがいるであろう辺りを次々と攻撃する。

「わっ!?とっ、たっ、ととっ・・・!?」

煙の向こうから聞こえてくる必死な声。
なんとレックスはこの視界ゼロの状況で攻撃をかわし続けているらしい。
夢も相手が見えないから命中率が低いにしても、恐るべき強運とカンの鋭さである。
しかしよけるレックスの声に、次第に苛立ちと怒りの色が混じり始めた。

「くっ、あっ・・・あーッ!!もう、うっとうしいッ!?」

ガシャッ!ガシャシャッ!

レックスの叫びとともに聞こえる何かの音。
夢はその『音』に警戒しつつ、それでも攻撃の手を緩めない。

ガキキンッ!

「!?」

すると、夢の連接剣が突然何かに弾かれた。
その感触から、その辺に転がっている瓦礫に当たったわけではない。
もっと金属のような硬くて大きなものだ。
だが今までの攻撃から、レックスの近くにそんなものはなかったはず・・・?
頭に浮かび上がった疑問に攻撃の手がわずかに緩んだそのとき。
巻き上がる砂塵の向こう側から、レックス・ライダーが反撃に出てきたのである。
それも最後に見たあの姿とはまるで違う姿となって。

「くッ・・・!?」

ハプニングの連続に、夢は戸惑うもすぐさま剣を捨てて防御に移る。
自らの右腕と左足を変身させて、即席の盾としたのだ。
それと同時に変身したレックスのバカでかい凶悪な4本の爪が振り下ろされた。

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