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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 271

レックスの右手、その恐竜の『口』から巨大な火の玉が飛び出てきた。
それも1つだけではない。連射、というほどでもないが、それをいくつも撃ち出してきた。
高速で飛んでくる火のつぶてに、夢たちは迎撃を即座にあきらめてその場から飛びのいた。
誰もいない大地に次々と降りかかる火の玉。
それは地面に当たるたびに爆発と業火を生んで、大量の砂塵を巻き上げる。
そして夢たちの視界からレックスたちの姿が消えた次の瞬間、敵はすばやく次の行動に移っていた。

「「!!」」

砂塵にまぎれてレックスとプテラが夢と刀に襲い掛かってきたのだ!
恐竜の頭が夢を襲い、プテラの槍が刀を襲う。
しかし夢と刀も怪人。この程度のことなど想定済みだ。
夢は連接剣で恐竜の口を縛り、刀はプテラのスピアを受け流す。
だがレックスたちは自分たちの奇襲が失敗したと見るや、即座に肉弾戦に切り替えた。
レックスの鞭のような左手が夢の身体を弾き飛ばし。
プテラのまとうマントが翼のように展開して刀の腹に直撃した。

「ぐあッ!?」
「うぶッ・・・!?」

夢と刀が、相手の狙いは不意打ちではなく自分たちを引き離すことだと気づいたが、時すでに遅し。
2人はそれぞれを襲った相手とともに、別方向へと消えていった。

――――

「くそッ!遅かったか!?」

その頃。夢たちが戦っていたところからそう遠くないところにいた啓太たちは、レックス・ライダーが巻き上げた砂嵐を見つけて思わずそう叫んだ。
できるなら夢たちが戦う前に合流して援護できればと思っていたが、もはやそれもままならない。
果たして夢たちは無事だろうか?
そう思うと啓太は不安で不安で仕方がない。
いや夢たちの実力を信じていないわけではない。
だが2人に限らず、アパレント・アトムの怪人は啓太の役に立つことを存在意義としている。
薙やオート・バルキリーのように、暴走すれば万が一ということもありえる。

(くそっ、無事でいろよ、2人とも・・・!)

啓太は焦燥感に身を焼きながら現場に向かって走り続ける。
今度こそ、自分の信念を貫き通すために。

――――

そして舞台は再び夢たちの元に戻る。
レックスたちの策略にまんまとハメられ、刀と離れてしまった夢は砂塵舞う戦場で姿の見えぬ敵の様子をうかがっていた。
戦力を分離され、ダメージを負い、敵を見失うという大失態を犯した夢であったが、彼女はあわてることなく武器を構えていた。
もしかしたら自分はこういった戦闘が得意だったのか、それともすでにこういった戦いを経験していたのかもしれない。

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