世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 269
「すんません啓太様、あたいは回復の為しばらく基地に戻りますが、御武運を祈ってますぜ。」
啓太の無事と活躍を祈りながら、ビーストこと荒田乱は啓太に断腸の思いでアパレント・アトムの基地へと戻った。
――――
ドーン・・・!ドドーン・・・!
あちらこちらで上がる火と煙。
おそらくダークギルドの参入で、戦いが激化したのだろう。
そんな中、ザウルスペクターのトップとアパレント・アトムの実質上のトップが今まさに戦いの火ぶたを切って落とそうとしていた。
「・・・何か町外れのほうが楽しいことになっているみたいだね。
お姉さんたちの仕業?」
「それはこちらが聞きたい。貴様たちの仕業ではないのか?」
刀の問いに、レックス・ライダーは心外だと言わんばかりに首を振った。
「とんでもない。ボクらはおもしろおかしく、楽しくケンカしたいだけなんだよ?
あんな楽しそうなことするのに、なんでここに残る必要があるのさ?」
「・・・『楽しくケンカしたい』、だと?ふざけるな!
貴様らの楽しみのために、どれだけ我が主が心を痛めたと思っているんだ!?」
レックス・ライダーの答えに激昂する刀。
今にも斬りかかりそうな刀に、夢は黙って手を差し出して彼女を制した。
「うわさにたがわぬ戦闘狂だな。
別にあっちのほうへ遊びに行っても、こちらは一向に構わんぞ?」
「夢様!?」
「う〜ん、それもおもしろそうだけど・・・。
まずはお姉さんたちと遊んでから、かな?
でないと後ろからぶっすりとやられちゃいそうだし♪」
「心外だな。我々がそんな卑怯なやからに見えるとでも?」
「あははっ・・・。お姉さん、うそがヘタでしょ?
そんなすごい殺気を出しておいて、背中から刺さないなんてあるわけないって!」
レックス・ライダーの言うとおりだった。
夢の斜め後ろにいる刀は気づかなかったが、夢は冷静な言葉遣いとは裏腹に、ものすごい殺気をレックス・ライダーたちに向けていたのだった。
啓太の大事な故郷にして、彼のための楽園となる町を、瓦礫の山になるほど暴れられ、はらわた煮えくり返っているのだろう。
そんな殺気を真っ正面から受けてけらけら笑っているレックス・ライダーも、その隣にいるプテラ・ナイトもかなりの実力をうかがわせる。
「それは、残念だな・・・」