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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 266

だがトプスも腐っても武闘派怪人。
肉を切り裂かれ、血を噴き出させながらも冷静に乱を見ていた。

(くッ・・・!力技から一転、スピード重視の斬撃かっ!
 それなら、肉を切らせて骨を断つッ!)

移動し続ける斬撃の嵐のわずかな隙をついて、トプスは乱の両手をつかむ。
スピードタイプの弱点は、殴り合いの接近戦に弱いことだ。
さぁ、反撃の開始だ。トプスがその光景を想像して笑みを浮かべた。

「捕まえたぞっ!さぁ覚悟し・・・ろ?」
「捕まったのはおまえだよ」
ブシャッ!ゴキメキバキッ!

次の瞬間、腕をつかんでいたはずのトプスの腕から嫌な音がした。
気がつけばトプスの両手は乱の手に『咬まれて』いた。
獣の牙を思わせる鋭い爪と強靭な握力で、指を腕の肉に食い込ませていたのだ。
さすがのトプスも、あまりの出来事にあっけにとられた。
反撃ののろしがあがった思ったら、いきなり両腕が再起不能なまでに破壊されていたのだ。
思考が止まってしまうのも仕方がないだろう。
しかし乱がこの絶好のチャンスを見逃すわけがなかった。
手をつかんだまま軽くジャンプして両足をトプスに向ける。
ただし向けられたのは、先ほどまでの鉤爪つきの犬の後ろ足ではない。
巨大で、重量感たっぷりの象の両足―――!

「『エレファント・・・スタンプ』っ!!」

叩き込まれる巨象の双脚。
両腕を押さえられ、茫然自失のトプスの腹と顔面に乱の足がめり込む。
しかし攻撃は一撃だけで終わらない。巨象の蹴りは何発も、何発も叩き込まれた。
解放されたのは別に乱の気が済んだとかそういうことではない。
あまりに破壊力のある蹴りに、左手が千切れ飛んだからだ。
支えの片方を失った乱は、これ以上蹴りを入れるのは不可能と判断、すぐさま残りの支えを利用してトプスを投げ飛ばした。
ボロ雑巾のようになったトプスは、瓦礫の山につっこみ、その下敷きになっていった。
スピード重視の姿から一転、肉食獣の口を思わせる手、巨象の双脚とまた姿を変えた乱。
先ほどからの変身の連続、これは一体どういうことなのだろう?
その疑問を解く答えは、乱が自分のことを『百獣の怪人』と言ったところにある。
肉体強化型の怪人である彼女の身体の中には、あるとあらゆる動物のDNAが存在している。
つまり彼女は身体に宿る動物の力を、自在に操ることができるのだ。
しかしまだ未熟な彼女は、その野性の力を1つに束ねて発揮することができない。
先ほどの場合はトプスの油断を誘うため、わざと攻撃力低めのスピードスタイルで攻撃し。
捕まったところで手、足の順に攻撃力重視に切り替えた。

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