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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 27

「ハッ!?もしかしてまたお身体の具合が悪くなったのでは!?
 空っ!すぐに啓太様の・・・むぐっ!?」

お身体を診てさしあげろ、と刀が言おうとするより先に啓太が彼女の口をふさぐ。
様づけ発言にギャラリーが騒ぎ出すのを恐れたからだ。

「あ、あはっ!あははっ!だ、大丈夫だって!
 そ、それより早くファミレス行こっ!ファミレス!
 もうおなか空いちゃってさー!あは、あはははははは・・・!」
「は、はあ・・・。啓太さんがそうおっしゃるならそれでいいのですが・・・」

夢はそう言いながらちらりとギャラリーに視線を移す。
ギャラリーの発する不穏な空気を敏感に感じ取ったようだ。
もちろんそれについては啓太も感づいている。
だが彼らはあくまでモテている(ように見える)啓太に怨念めいた嫉妬を送っているだけで、害はない・・・はずだ。
啓太は手を出すなと首を振って夢を制する。
すると今度は思いもよらぬところから声がかかった。

「あの、啓太、さん?」
「何かな、空!?オレ、今取り込んでて忙しいんだけどっ!?」
「い、いえ。そろそろ刀さんの口から手を離したほうがいいのではと・・・」
「・・・へ?ああっ!?刀っ!?」

見れば、今まで両手で顔を抑えられた刀が顔を真っ赤にしてこらえていた。
さすがの怪人と言えども、呼吸を抑えられると苦しいらしい。

「す、すまん、刀っ!大丈夫か!?」
「だ、大丈夫です」

大きく深呼吸しつつ自分の無事を伝える刀。
事故とは言え、死にかけたんだから少しくらい怒ってもよさそうなものだが、この辺が怪人の怪人たるところだろう。

「ではそろそろ参りましょうか、啓太さん。
 きっと『彼女』も首を長くして待っていることでしょうから」
「あ、ああ。そそ、そうだな」

バラエティの3流コントを披露した3人は、気を取り直して次の目的地に向かう。
向かう先はファミリーレストラン『デリシャス』。
アパレント・アトムが出店した資金稼ぎの施設にして、かつて啓太に大迷惑をかけた怪人ベンケイ・ウォールの勤務先でもあった。

――――

そしてやって来ました、ファミリーレストラン『デリシャス』。
この店は人身売買などの悪事で生活費を稼げないアパレント・アトムの生活費を支える貴重な収入源の1つだ。
多種多様なコスチュームを着た個性的なウエイトレスと値段に見合わぬおいしい料理を武器に日々売り上げを伸ばしている。
ちなみにここ以外にも、一宮桜のようにホステスをするものや警備会社や探偵業など、そのさまざまな職種で働く怪人たちがいる。

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