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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 259


憎々しげにクロックがつぶやく。事態が急転したのはほんの数分前のこと。
ヒーローと怪人の入り混じるこの混沌とした三方町に、今まで静観を決め込んでいた悪の組織、それももっとも厄介で危険な組織がこの町に乗り込んできたのだ。
その組織の名はダークギルド。世界の秩序を守るヒーローたちの組織『ヒーロー協会』を光とするなら、ダークギルドはその対極に位置する悪の一大組織である。
悪の頂点が動いたとなれば、正義の頂点もまた黙っていない。
正義と悪、それぞれの頂点のぶつかり合いとなればどれだけの被害をこうむるかわかったものではない。
下手をすれば全世界を舞台に勃発したとされる大戦、『聖邪戦争』並みの戦いが予想される。
そうなれば、アパレント・アトムなんて新興組織はひとたまりもない。
一刻も早く啓太と残存勢力を回収し、対策を立てなければならない。

(最悪、この基地を放棄することも考えねばならんな・・・。
 くそっ、それにしても何でダークギルドなんて大物中の大物が動いたのだ!?)

クロックは最悪の事態を回避するべく、基地の残されたすべての施設、すべての兵力をまとめながら決死の覚悟で大きすぎる敵への対応を打ち続けていた。
――――

ダークギルドの参入はすでに地上で影響を与えていた。
ギルドの送り込んだ怪人が、町外れで暴れていた他組織の怪人たちを潰し始めたのだ。
その強さと言ったら、まさに鬼神のごとし。
圧倒的な実力差で不幸にも襲いかかってきた敵怪人たちを紙や布を引き裂くかのように殺していく。
彼我の差に気づいたところで時すでに遅く。
兵隊をあらかた潰したギルドの怪人たちは、次々と指揮官クラスの敵怪人を屠っていくのだった。

「ぎゃあああぁぁぁッ!?」
「ひいいぃぃぃッ・・・!?」
「た、助・・・げべッ!」
「あなたたち!早くこちらへ!そこ!あまり大人数で行動しないで!
 必要最低限のグループになって散開するんです!」

そんな阿鼻叫喚の地獄の中。アパレント・アトムの面々は少しでも救出するべく動き回っていた。
戦意を喪失した連中はいるだけ邪魔なので、逃走経路と方法を伝えて戦場から逃がし。
戦う気力を残している連中とは連携を組んで時間を稼ぐ。
勝つことは考えない。

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