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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 256

啓太が何度目かになる襲撃者グループの最後の1人を昏倒させると、周囲に敵がいないことを確認してからようやく安堵のため息をついた。

「ふへ〜・・・。やっと片付いたか・・・」
「お疲れ様です、リベリオン様。さ、タオルをどうぞ」

そう言ってどこからともなくタオルを差し出すケイロン。
この状況下でも奉仕の心を忘れないこの気配り・・・。
ここまで来るといっそ尊敬に値する奴隷根性である。
啓太はそれをありがたく受け取って顔の汗を拭く。

(リベリオン様、最初の頃と比べてずいぶん様になってきましたね)

小休止を入れる啓太に、パラサイトが感心したようにつぶやく。

「そりゃ自分の命がかかってるからな〜。必死にもなるよ。
 夢たちのこともあるからな」
「・・・うらやましいですね。
 リベリオン様にそこまで思われている夢様たちが・・・」

啓太の言葉に、ケイロンがどことなくさみしそうな笑みを浮かべてそう言った。
彼女たち怪人は道具だ。消耗品だ。
それゆえに彼女たちは、持ち主の役に立とうと必死にがんばる。
怪人にとって、主人が危険を冒してでも大事にしてくれるということはとても幸せで、道具冥利に尽きることなのだ。
それを見た啓太は、ちょっと不機嫌そうな顔になると、顔を拭いていたタオルをケイロンの顔に投げつけた。

「わぷっ!?」
「こらそこ。何1人でたそがれてやがる?
 言っとくけどな、オレは夢だろうとおまえだろうと、危ないことしてるとわかったらすぐさま止めに行くぞ!?」
「そうだぞ、ケイロン。
 リベリオン様は相手が誰であろうと平等に愛してくださる偉大なお方だ。
 そのお心をうかがうとは失礼にもほどがあろう」
「は、はい。申し訳ありませんでした」
「おいおい。んなことで頭下げんでもええって」

どこからともなく姿を現したイブの苦言と申し訳なさそうに頭を下げるケイロンに、啓太はあきれ返りながらひらひらと掌を振った。

「つーか、イブ。クロウと一緒に周囲の偵察に行ってたんじゃないのか?」
「ここの安全はすでに確認しています。
 何か異常があればすぐに対応できますので、どうかご安心を」
「んなもん、どーやって・・・あ、おまえの分身か」

左様でございます、と首肯するイブ。
彼女ことイブ・ジェネシスは全にして個、個にして全を体現した群体系怪人である。

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