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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 253


「「!?」」
「間一髪・・・で、ござったな?」

なんと敵が1人減るこの大チャンスに、薙は敵をかばうというとんでもない行為に打って出たのだ。
怪人が敵を、それも自分が有利になるチャンスを棒に振ってまで助けるというこのありえない行為に、ニクスはおろか助けられたルシフェルさえもが驚きを隠せなかった。

「お身体の具合はいかがでござるかな、お嬢ちゃん?」

そんな中、自分のしたことを理解しているのかいないのか。
薙は視線をニクスに向けたまま、助けた相手の安否を訊ねた。

「貴・・・様、なぜ私を助ける?私はおまえの敵なんだぞ?」

何が何だかわからないと言わんばかりの面食らった顔で、ルシフェルが呆然とつぶやいた。
薙の質問にまるで答えていない形だが、返事できるだけでも彼女には十分だった。
それなりに自分がいかに妙な行動をしていたのか、自覚なりはあるようだ。

「ははっ、それは我が主のご意向にござる。
 それにいずれ貴殿のすべては我が主の所有物となる予定。
 そうとわかっていて、みすみす傷物にされるのを黙っては見ておれんよ!」

その光景を想像でもしたのか、薙が笑いながらそう答えた。
なるほど、こんな状況でも啓太の教えと啓太への奉仕を忘れてはいないらしい。
貢物扱いしているところがマイナス点だが、啓太がこれを聞いたら大喜びするだろう。
自分の教育は間違っていなかったんだと。
もっともそう言われて喜ぶヤツは皆無であろう。
それを聞いたルシフェルは何を思ったか、突然傷口を押さえていた右手を掲げると、こう言い放った。

「フン!誰が他人の所有物になどなってやるものかよ!」
「「ッ!?」」

その瞬間、彼女の足元から十字の炎が吹き上がる。クロスファイヤーだ。
まさかあのダメージでこんな大技を使えるとは思っていなかったのか、薙もニクスもなす術もなく業火に飲み込まれていく。
これで勝負あったか!?そう思われたその時。

「グ・・・ギャアアァッ!?」

悲鳴とともに十字の業火がまるで霧のように消え失せ、そこから炎に焼かれて悶えるニクスと、あまりの事態の変化についていけずにあっけにとられる薙の姿が現れた。
そう、そこにはこの戦いの勝利者と思われていたルシフェルの姿はない。
まわりを見渡せば、いつの間にか介錯丸の姿も消え去っている。
これは一体どういうことなのか?薙が現状把握に戸惑っていると、どこからともなくルシフェルの声が聞こえた。

『フン!貴様の怪人らしからぬ言葉に戦う気が失せたわっ!
 後は貴様らで勝手に殺しあうがいい!だが覚えておけよ、女!
 貴様がどんなきれいごとを並べようが、次に刃を交えるときは必ずその息の根を止めてくれる!』

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