PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 250
 252
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 252


ニクスの姿が消えたことに対する一瞬の判断が、薙とルシフェルの明暗を分けた。

「シャイニング・・・スライサーッ・・・!」
「・・・ッ!?」

『そいつ』の遠く背後に姿を現したニクスがそうつぶやいた瞬間。
ニクスと『そいつ』を結んだ直線状の瓦礫が崩れだし。
攻撃を防げなかった『そいつ』の身体もまた、思い出したかのように大量の鮮血を噴き出していた。
「か、あぁッ・・・!?バカ・・・な・・・ッ!?」

あふれる鮮血を止めるかのように、傷口を押さえてその場にひざをついたのはルシフェル。
ニクスがターゲットに選んだのは彼女のほうだったのだ。
不可視の一撃を食らったルシフェルは、自分が敗れたという事実に驚愕と憤怒をにじませながらニクスをにらみつける。
標的とならなかった薙さえも驚きを隠せない様子でニクスを見ていた。
当然だ。瞬きすらしていなかったあの刹那に、あのルシフェルに大ダメージを与えたのだから。
みながその神速の攻撃に驚く中、ニクスは不気味な笑みを浮かべていた。
自身の身体のダメージを悟られないよう、必死に痛みと戦いながら。

(わ、らえ・・・!余裕を見せるんです・・・っ!
 ニクスにはまだ余力が残っているかのように・・・!)

シャイニング・スライサー。それは高速移動による一撃必殺の爪。
その一撃は光速に近く、実質防ぐことは不可能に近い。
仮に防いだところでたいていのものは分断されるか、そこから繰り出される衝撃波で切断されることになる。
だがそんな必殺技にも、弱点がないわけではない。
1つはあまりの速さゆえに自分でも視認できないこと。
そしてもう1つは身体にかかる負荷が大きいことだ。
元々ストラグラーニクスという怪人ははスピード特化型で、早く移動するために邪魔なものは極力排除されている。
防御力だけなら非戦闘型の怪人並と言っていいだろう。
そんなニクスにとって、シャイニング・スライサーはこの上なく危険な諸刃の技なのであった。
まして今は平時の70〜80%の脚力しかないと来ている。
今ニクスにかかる負荷がどれほどのものかは計り知れない。
弱みを見せまいと壮絶な笑みを浮かべるニクスは、とどめを刺すべくルシフェルに向かって飛びかかる。
シャイニング・スライサーで大ダメージを負った彼女には防ぐこともよけることもできない。

(――殺られる!?)

せまりくるニクスに、自分自身の敗北に信じられないものを見たかのような表情を浮かべるルシフェル。
しかし運命の女神はここで彼女に死ぬことを許さなかった。

ガ・・・キィンッ!

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す