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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 251

力を振るうことに後悔はないが、ルシフェルはそれだけは疎ましく感じていた。
だがそんなくだらない後悔をいつまでもしていることは、彼女の流儀に反する。
ルシフェルは思考を切り替えて自分の正義を、目の前の敵を倒すことに専念することにした。
何しろ彼女の前に立ち塞がる手強い敵は、まだ1人として倒したわけではないのだから。
そう思いながらわずかに向けた視線の先では、十字の炎に飲み込まれたはずのニクスがいた。
全身いたるところに小さな火傷を負ったニクスは、よほどあの攻撃に驚いたのか、尋常でない汗をかき、呼吸を乱しながらこちらの様子をうかがっていた。

(あ・・・危なかった!あの時、限界以上の力を使えなければ、ニクスは・・・!)

十字の業火に呑み込まれかけたあの時。
ニクスは足が焼けるのも、後の戦闘に支障をきたすこともすべて無視した。
限界以上の力で地面を蹴ってその場から離脱した。
そのおかげで足の機動力を20〜30%ほど失ったが、九死に一生を得ることができた。
それは死なずに済んだということだけではない。
それはニクスの致命的な弱点を守りきれたということが大きかった。
敵が薙かルシフェルか、どちらかなら問題なかった。
ザコが大勢でも問題なった。
しかし目の前にいる敵は明らかに強い。
もしそこで弱点を見せれば、すぐさま2人はニクスを狙ってくることだろう。

(残念ながら・・・もうお楽しみタイムは終わったものと判断したほうがよさそうです)

ニクスは戦いの愉悦に浸っていた心を殺して、初めて命の賭けた戦いと真剣に向き合うことを決意したのだった。

「・・・っ!」

明らかに雰囲気の変わったニクスに、薙はニクスが最後の勝負に出ることを直感で悟った。
しかしそれがわかったところで、パワータイプである彼女が対応できる方法なんて高が知れている。
スピードタイプであるニクスの先手を取るなんてまず不可能。
ニクスに一撃入れるにはカウンターかダメージ覚悟の反撃、すなわち後の先を取るしかないのだ。

(次の一撃、防げば天国、外せば地獄・・・か)

薙は自然と落ち着いた様子で唯一の武器である大太刀を構えなおした。
ルシフェルもニクスが最後の勝負に出ることを理解してゆっくりと迎撃の姿勢をとった。

「・・・来い」
「言わずもがな、です。
 ここまで楽しませてくれたこと、心からお礼を言いますよ」

そして次の瞬間、ニクスの姿が掻き消えた。

(逃げた!?)
(来たッ!)

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