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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 250

舞い立つ土煙の中からいくつかの瓦礫が当たった程度ですませたルシフェルの姿が現れる。服や薄手の長手袋のあちらこちらに穴が開き、かすり傷を全身に負っていた。
その中でもひときわ、左腕の一の腕がどす黒く変色している事から全てを避けきる事はできなかったのだろう。
薙の怪力による破壊力の大きさを物語る。
「まさか、瞬時に致命傷となりうる瓦礫だけを切り払うとは……恐れ入ったでござる。まともに受けて片腕が吹き飛ばなかったのは流石でござるが、その腕で戦うことは無理でござろう」
「左腕一本程度で勝ったつもりか?確かに不利だが、おまえらに倒されるほどでもない。無論、こちらから倒す事も難しくなったがな」
余裕の態度で返すルシフェルだが、実際は違った。どす黒く変色している左腕は骨が折れて、ナノマシンによる修復に時間がかかりそうとルシフェルは判断していた。
当面は右腕だけで明らかに特化型怪人二人を相手しなけばならない。迎撃よりだったのだが、暫くは防御に回りざる得ないのが現状だ。
「もらった!!」
だが、ニクスもルシフの不利を見逃すはずもなくスプリットイリュージョンで分身を繰り出しながら襲い掛かる。
「くっ……こんのぉぉぉ!!!」
相手を判断している暇はない。ならばとルシフェルは右手を地面に叩き付ける。
四人のニクスの足元……いや、ルシフェルの前後左右の地面から上に向かって炎が勢いよく吹き上がる。
「!!!!」
予測できなかった攻撃に四人に増えたニクス達は飲み込まれた。
だが、炎を突き抜ける形で両腕を交差させて防御したまま分身を掻き消されたニクスはルシフェルから離れた場所へ降り立つ。
「流石、獣。炎を見て怯えるか?褒めてやるよ。本来なら使わなかった、クロスファイヤーを使いざる得なかった状況にした事を」
ルシフェルはそう言って傲慢な笑顔を浮かべているが、内心では舌打ちを禁じえなかった。
アドヴァンスドヒーローである彼女が本来ここで力を振るうこと自体、あってはならないことだったのだ。
今回はちょいと退屈しのぎに町へ出ていたらこの騒動に巻き込まれてしまったので、多少の言い訳は利くだろうが・・・。
自分たちアドヴァンスヒーローを束ねる『あの男』に感づかれたら、どんなお小言を言われるかわかったものではない。

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