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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 247

逆に力任せに刀を押し付け、力ずくで介錯丸をねじ伏せ、スパイクを切り伏せるつもりなのだ。
並外れた怪力を持つ、薙ならでは傲慢極まりない戦術と言えるだろう。
介錯丸も薙の意図に気づいて悔しげに顔をゆがめるも、この状況で薙の怪力に真正面から立ち向かえるほど無謀ではない。
力を抜いて薙の刀をうまい具合に受け流す。
このまま体勢を崩せば、スパイクの餌食になることは確定だ。
しかし薙は自身の力を知っているがゆえに、介錯丸のその行動すらも読みきっていた。
薙は体勢を崩すとそのまま前に向かって跳躍。
そしてそのまま地面に刀を突き刺し、くるりと一回転する。
それは薙が先ほどニクスたちに放った土砂の散弾―――!
これにはさしもの2人も顔色を変えた。
ついさっき同じ技を受けたばかりなのだ、反応するなと言うほうが無理だろう。
2人はあわてて攻撃範囲から飛びのく。
するとわずかに遅れて、土砂の散弾が彼らのすぐそばを通り向けていく。
至近距離で撃たれたために散弾の一部が2人の身体を掠めていくが、直撃したときのことを考えればそれでも上出来と言えるだろう。
だが安心するのはまだ早い。
薙は手がすばやく体勢を崩した介錯丸の顔をつかみ、そのままスパイクに向かって投げつけたのである。
これが普通の人間ならぶつかって終わりとなるところだが、投げた相手は怪力自慢の薙。
そんな女に投げられたら、投げられたほうもぶつけられるほうもたまったものではない。
ちょっとした野球のピッチングのような勢いで飛んでいった介錯丸はスパイクに激突。
そのまま背後の瓦礫の山に吹っ飛んでいった。

「スパイクっ!?」
「おっと、油断大敵でござるっ!」

仲間が再度瓦礫の山に突っ込んだことに、思わずニクスが注意をそらす。
その隙を逃さず薙は刀を構えて斬りかかるが、所詮はパワータイプ。
スピードに特化した怪人、ニックスにあっさり攻撃をかわされてしまった。

「ちいっ!?」
「甘いですっ。そんな動きじゃいつまで経ってもニクスを捕まえられませんよっ!」
瓦礫の山にスパイクと共に叩き付けられた介錯丸が起き上がり、スパイクに襲い掛かろうとするが、反応するはずのスパイク自身の様子がおかしかった。
それなりの動きを見せていたのに急に愕然と動きが鈍るという異変。
そして、急に脳天から股下まで一直線に炎が迸り、倒れる。何が起こったのか分からずに、両断された部分から炎を燻らせたまま、スパイクは絶命していた。
「す……スパイク?一体、何が起こったんです!!」
動揺するニクス。スパイクの背後には黒衣の少女が赤い剣を振り下ろした状態でいた。言うまでも無くルシフェルだ。

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