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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 246

スパイクは全身の痛みに耐え、傷ついていく身体に鞭打って何とか恐ろしい2つの嵐の衝突から脱出した。
そしてそれに合わせるかのように、介錯丸の斬撃の嵐が薙を土砂の嵐ごと飲み込んだ。

「ふふっ。ただの怪力自慢や範囲攻撃をすれば勝てるなんて考えでは、このニクスを倒すなんて不可能なんですよ。
 とりあえず、ニクスの頭脳プレイで1人脱落・・・え!?」

ほぼ自分の思い通りに事を運んだニクスは、勝利を確信してにっこりと微笑もうとして・・・その顔を凍りつかせた。
土砂の散弾の嵐をも飲み込む斬撃の嵐に切り刻まれているはずの薙は、生きていた。
回避したのではない。
いまだ扱いきれぬはずの大刀を盾に、介錯丸の攻撃を受けて止めているのだ。
衝撃波として放てるほど速く鋭い斬撃を真っ向から受け止めて無傷だなんて思っていなかったニクスは、攻撃することも忘れてしばしその光景に見入っていた。
そしてそれは介錯丸も同じであった。
介錯丸が使う流派『大罪流』は、あらゆる罪を一刀両断することを旨としている。
介錯丸の技量ではその真意を体現するには至っていないが、それでも当たればどんなに硬いものでも削ったり欠けさせたりするくらいの威力がある。
なのに目の前の刀は彼の斬撃を受け止めているのに、刃こぼれ1つしていない。
それの意味するところに気づいた介錯丸は、刀を押し付けたままに薙に怒鳴りつけた。

「き・・・さまっ!その刀・・・何か仕込んでいるなッ!?」
「・・・別に仕込んでいるわけではござらんよっ。
 ただこの刀は拙者専用であるため、特別頑丈に作られているだけのこと・・・っ!」

そう。この刀自体には何の仕掛けもない。
ただ薙が全力を出せるように特別頑丈な素材を使っているだけだ。
その頑丈さを出すために総重量数トンという、とんでもなく重い代物だったが。
高密度・高質量であるがゆえにその刀身は決して折れず、欠けさせることすら難しい。
今の状況をたとえるなら、巨大なダイヤモンドを素人がナイフ1本で切り裂こうとしているに等しい。
むしろ今ほめるべきはそんな危険なことをして、いまだに刀を折らずにいる介錯丸の技量のほうだろう。
薙の言葉の真偽がわからず、戸惑いながらもつばぜり合いを続ける2人の剣士。
だがいつまでも続けていると、いつニクスたちが襲い掛かってくるかわからない。

「ガアアアァァッ!!」

案の定、スパイクファングがチャンスとばかりに襲ってきた。
もっともそれがチャンスと言えるのかは、微妙なところではあるけれど。
普通ならつばぜり合いをすぐさまやめて、スパイクの攻撃を回避するなり防御するべきこの場面。
しかし薙の取った行動はそのいずれでもなかった。

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