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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 243

薙のパンチを食らった部分だ。
そして普段はポケットに収められていたタカやワシの足を思わせる、鋭い鉤爪のついた両腕も解放されている。
怒りに任せて吠えるその姿は、まさに化け物と呼ぶにふさわしい代物であった。

「ほう。それが貴殿の正体か。
 リミッターつきとは言え、拙者の一撃に耐えるとはなかなかの猛者!
 これはいい勝負ができそうでござるな!?」

――――

「・・・薙は大丈夫でしょうか、夢様」

その頃。啓太の元へひたすら走りながら、刀は不安そうに夢に訊ねた。
薙が今相手しているのが何者であるかは、すでに知っている。
そしてそれを相手にし、かつ勝利することがどれだけ困難で厄介なことなのかも。

「・・・我々はリベリオン様より、勝手に死ぬことは禁じられている。
 アイツもそれを無視してまで無理をすることはないだろう」
「でも・・・!」

なおも食い下がろうとする刀に、夢は制するように言葉を続けた。

「それに忘れたか?アイツは封印指定のエウレカシリーズで、開発部から特製の剣を渡されている。
 素手でも十分強いアイツにあの武器を持たせれば、まさしく鬼に金棒だ。
 それでもアイツを信じられんか?」
「・・・!」

開発部から渡されたという、薙の刀。
それは薙にのみ扱え、使いこなせればさらなる強さを発揮するであろう、薙にとって最強最高の刀。
刀は微笑みすら浮かべて言う夢の様子に、心曇らせる不安の暗雲に希望の光が差し込むのを感じていた。

――――

「グアアアァァッ!!」
「ハアアアアァァァッ!」

ブゥンッ!と風を切りながら、突進してくるスパイクファングに大刀をたたきつける薙。
あんな大きな太刀を軽々と扱えるのは、組織随一の怪力を持つ薙ならではだろう。
しかし怪力1つで戦闘集団ザウルスペクターを倒せるなら苦労はしない。

ダンッ!

スパイクは刀が振り下ろされる間合い、ギリギリのところで上空に跳躍。
さらに跳躍した上空に両手を掲げ、何もないはずの空中でさらに跳躍した。
刀を振り下ろし、無防備となった薙に向かって突進する。
さすがの薙もこんなデタラメな高速移動に対応できない。
薙はひざの力を抜き、倒れこみつつ攻撃の回避を試みる。

チッ・・・!

「っ・・・!?」

間一髪。スパイクの足の爪が薙の頬のすぐそばを掠めるように通り過ぎる。
しかしそのあまりの速さからか、薙の端正な顔に線が走り、そこから赤い血潮が流れ出す。

「よくやりました、スパイク!とどめはニクスが―――・・・!」

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