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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 242

1人勝手な行動に出た薙を刀は一瞬止めようとしたが、すぐに何かに耐えるような顔をして伸ばしかけたその手を引っ込める。
あの時、薙はこうつぶやいたのだ。

「彼らは拙者が足止めします。
 お二方はそのスキに啓太様の元へお急ぎください」

――と。すでに飛び出した彼女を止めることは薙の意思を無駄にすることに他ならず。
刀が手を引っ込めると同時に、夢とともにその場を後にした。

「―――!逃がしませんっ!」

それにいち早く気づいたニクスは、得意の俊足で2人の逃亡を阻止しようと試みる・・・が。
注意のそれたその瞬間を介錯丸が逃すはずがなかった。
斬撃の衝撃波で移動を妨害しつつ、切り込んできた。
俊足が自慢のニクスも、これには回避するしかない。

「・・・くっ!?」

夢たちの元に行くことをあきらめ、後方にすばやく移動する。
ニクスのいなくなった空間に、介錯丸の大剣と衝撃波が空を斬る。
もしあれ以上あの場に留まっていれば、間違いなくニクスは真っ二つにたたっ斬られていただろう。

ゴガンッ!ド、ゴォン・・・ッ!!

ニクスがそんな怖い想像をしていたその時、ものすごい音とともに近くの瓦礫が爆発した。
いや違う。瓦礫の山に何かが当たって崩れだしたのだ。
当たったものが自分と一緒にいたスパイクファングだとわかるのに、そう時間はかからなかった。
あれほど自分たちを付け狙っていた介錯丸さえもが驚いた様子でスパイクを吹っ飛ばした張本人を見ていた。
そこにいるのは刀と呼ぶには大きすぎる大刀を片手に、何かを殴ったような体勢でいる薙の姿が。
どうやら武器による攻撃をかわされ、懐に入られたところを力任せにぶん殴ったらしい。
ニクスの同僚であるトプスでもできないであろう力技に、さすがのニクスも驚きを隠せなかった。

(これが・・・アパレント・アトムの怪人の力・・・!)
「・・・ふむ。慣れない武器ゆえ、扱いきれんか。
 拙者もまだまだ修行不足でござるなぁ」

みなの注目を一身に集める薙は、そんなことなど気づかぬ様子で恥じ入るようにそうつぶやいていた。
だが総合的な戦闘力なら、ザウルスペクターだって負けてはいない。

ドッガァンッ!!

「グルガアアァァァーーーーーーッ!!」

砂埃舞う瓦礫の山が再度爆発し、そこから吹っ飛ばされたはずのスパイクファングが姿を現した。
それは服がボロボロに破け、醜い姿をあらわにした本当の姿。
彼のかぶっていたフードは薙のパンチでボロボロに破け、そこからエイリアンと恐竜を足して2で割ったような醜悪な化け物の顔があらわになっている。
しかしその顔の半分はひしゃげ、血で真っ赤に染まっている。

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