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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 240

だがどれだけストレスを発散させても、夢の心が晴れることはない。
彼女の存在意義のすべては、今も危険に身をおいている啓太にのみ向けられているのだから。
そんな中、彼女の視界に自分の両脇で疾走する2つの影をとらえた。
また自分を追ってきた敵か?
そう思って両手に武器を握り締めたその時。

「夢殿!?あなたも啓太殿のところへ!?」

視界に捕らえた人影の1つが彼女の名前を呼んだ。
寄ってきた人影の正体は敵ではなく、味方の薙と刀だったのだ。

「刀!薙!おまえたちも啓太様のところへ!?部隊のほうはどうした?!」
「部隊には私以外にも使えるものが大勢おります。
 指揮官であるクロック様もサポートしてくれることも考えれば、私1人くらいの穴は埋められるでしょう」
「啓太様の一大事、放っておくことなどできませぬ!
 処罰なら後でいくらでもお受けいたします・・・!」

言葉は違えど、同じ思いであることを確認した夢は苦笑を浮かべながらも2人の仲間に頼もしい何かを感じた。
クロックに残った部隊を任せるのはいろいろ不安だが、今は彼女に感謝しよう。
夢はそう考えると、『遅れるなよ』とだけ言ってさらにその移動速度を上げた。
一陣の風となった夢に、少し遅れる形で刀たちもついてくる。

(待っていてください、啓太様。今すぐそちらに参ります―――!)

夢が啓太の安全を祈りながら大きな瓦礫の脇を通り過ぎようとしたそのときだった。
突然大きな瓦礫にいくつもの黒い線が走った。
それが鋭い刃物による切断線だとわかったときには、瓦礫はいっせいに崩れ始めた。
さすがの夢たちもこれにはたまらない。
先に進むことをいったんあきらめてよけることに専念する。
そうしなければ、瓦礫の向こうにいるであろう敵に教われるだろうから。
事実、その対応に間違いはなかった。
瓦礫の雨に混じって2人の怪人が姿を現したのだ。
それは以前、夢たちをおびき出すべく近隣の町々で暴れていた怪人、ストラグラーニクス。スパイクファング。
そして・・・!

「はあぁッ!!」

その2人と戦い、屈辱の敗北を喫したヒーロー、介錯丸その人であった!

「しつこい人ですね。そんなにニクスたちに負けたことが悔しかったですか?」
「言うなぁッ!?
 貴様から受けたこの屈辱、今こそその命であがなってもらうぞッ!」
「やれやら、熱血系はこれだから嫌いなんですよ。・・・ん?」

衝撃波つきの斬撃を軽くかわしていたニクスは、そこで初めて夢たちの存在に気がついた。
ニクスだけではない。介錯丸もスパイクも、闖入者に気づいてその動きを止める。

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