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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 239


「無駄だよ。手首がすぐに飛ばないのはさすがだけど、耐え切れるもんじゃない。
 知ってるかい?
 ゴリラってのは、素手で生の青竹を握りつぶせるほど握力があるんだって。
 怪人のオレがその因子を持っていたとしたら、アンタの腕はどうなっちゃうんだろうね?」

そう言って乱が力を込めようとしたその時!
トプスは倒れこむようにして、乱の身体にエルボーを叩き込んだ。

「がふっ・・・!?」

人体でもっとも硬い武器の1つを腹で受けた乱は、苦しげにうめいて握り締めていたその手を離す。
トプスはその隙を逃さず、すばやく乱の拘束から逃れて距離をとる。
まったく危ないところであった。
彼が機転を利かせて攻撃しなければ、手首を握りつぶされていたかへし折られていたかしていただろう。

「やれやれ、油断のならないお嬢ちゃんだ。
 まさかこのワシの右手を力でねじ切ろうとするとはな」
「そーゆーセリフは、いたいけな少女を地面にたたきつける前に言うべきだな?」
「がははっ、違いない!だがやんちゃな子供をしつけるのも大人のつとめ。
 危ないことをしてくれたお礼は説教つきでたっぷりさせてもらうぞっ!?」

トプスはそう言うなり、巨大な瓦礫を片手に反撃を試みる。
恐竜怪人と動物怪人との戦いはまだ始まったばかりであった。

――――

その頃。啓太が地上に出たことを知った夢は部隊から離れ、1人啓太の元に向かって駆けていた。

(くっ!何度悔やんでも悔やみきれない!
 何で啓太様がこのような行動に出ることを予測できなかった!?
 啓太様のご性格を考えれば、すぐわかるようなことではないか!!)

戦場を駆ける夢の心にあるのは、啓太の意思を汲み取れなかった自身への不明。
1番啓太との付き合いの長い夢こそが誰よりも啓太を理解し、その望みをかなえなければならなかったのに。
啓太の気持ちを汲めないばかりか、逆に変な自信をつけて啓太を危険にさらしてしまうなんて、下僕失格ではないか。
夢は心の中で何度も自分を責めながら、戦場を駆け抜けていった。
途中で瓦礫や建造物ついでに、交戦中の正義の味方や彼女に襲いかかってきた怪人・戦闘員も切ったかもしれない。
今の彼女に当たった連中は実に不幸と言う他ない。
一応啓太の命令で殺すまでには至っていないが、焦りと怒りにとらわれた彼女の一撃は、ことごとく相手を再起不能にするしないの瀬戸際に追い込んでいたのだから。

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