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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 223

何しろ司令室には雅がいる。
彼女はクロックと違い、自分の意思を第一に考えてくれる怪人だ。
気づいても何らかの対処をしてくれるだろう。
そしてそれは怪人の暴走を毎日未然に防いでいる、夜伽管理者のイブも同じこと。
啓太はクロックや夢の知らないところで、きちんと怪人たちの扱い方について勉強していたのである。
もっともそうしないと発情した連中に襲われたり、お小言言われたりとやむをえない事情があったからなのだが。
しかし、啓太は少しづつであったが、着々と王の道を歩んでいたのも事実であった。


――――

「・・・ぇ?」
「どうした?何かあったか?」

それから3分後。基地内を警戒していた情報部のメンバーに、啓太はものの見事に見つかっていた。
それにすばやくリリス・ヴァンパイアこと雅が対処したのは、幸運といっていいかもしれない。
もし見つけた情報部員がクロックに報告したらその場で脱出劇は終わってしまうのだから。
・・・と、言いたいところだが。
実は雅、啓太が自室に戻るといった時点で脱出する気であることはすでに知っていた。
後はクロックに気づかれないように、基地内を監視する怪人たちに目を光らせておけば言いというわけだ。
雅はクロックに組する気もなかったし、何より啓太の意思を尊重したかったのだ。
無論、彼があまり無理をしすぎるようなら、その限りではなかったが、今回は許容範囲だったようだ。

(・・・しかしこんなあっさり見つかるとは・・・。
 帰ってきたら、この礼としてデートやHの1つでもしてもらわんとな♪)
『くしゅっ!』

カメラの向こうでくしゃみをする啓太。
知らぬは仏とはよく言ったものであった。

「あのぉ・・・雅様?」
「ん?気にするな。啓太が他の怪人とイチャイチャしてるのはいつものことさ。
 後でしっかり『フォロー』を入れておくから放っておけ」
「・・・ッ、は、はいっ!」

思わぬ発見にどう対処したものか問おうとした情報部員に、雅は情報部らしく答えた。
自分の聞きたいこととはまるで違う回答であったが、そこは腐っても情報部、すぐに雅の言いたいことを理解した。
彼女は遠回しにこう言ったのだ。
啓太の好きにさせてやれ。黙っていれば、後で啓太とデートなり夜伽なりできるように取り計らってやる、と。

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