世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 220
「・・・ん?」
そこまで考えて、啓太はふとあることを思い出した。
次の瞬間、啓太の脳裏にあるアイデアがひらめいた。
それはまさに天の啓示と言うべきひらめきだった。
「いかがなさいました、啓太様?」
「んん?いや、何でもないよ?」
啓太のかすかな変化に気づいたマヤが声をかけるが、彼はすっとぼけた。
まずはここから脱出するため、ここから移動しなくては。
啓太は覚悟を決めると、あえてクロックに声をかけた。
「なぁ、クロック。ホントに夢たちだけに任せて大丈夫なのか?
死んだりするのはもちろん、ケガだって嫌だからな?」
「ご安心ください、啓太様。現場と司令部にそれぞれ組織のbPと2がいるのです。
何の心配もありませんよ」
「ほ、ホントか?ホントに大丈夫なんだろうな!?」
啓太はクロックが心配ないと言うにもかかわらず、しつこく食い下がる。
指示を飛ばすのに専念したいクロックとしては、そんな啓太を相手にするのは少々大変だ。
彼女はさりげなくエレメンタル・ガーディアンに目配せして啓太を自室に戻すように命令した。
以心伝心でそれを察した3人は、クロックの言うとおりに動き出す。
それこそが啓太の狙いであるとは思いもせずに。
啓太は自室に戻ってからはテレビやPC、基地内の放送などで情報収集しつつも、目立った行動はしなかった。
落ち着きがないのは相変わらずだったが、てっきり脱走するとばかり思っていたエレメンタルの3人は、すっかり肩透かしを食らってしまった。
(ねえねえ、マヤっ。何か、ご主人様ってば妙におとなしいんだけど、ホントに脱走する気なのかな?)
(それは間違いないでしょう。前科もありますし、クロック様もそうお考えでしたから)
(でもそれにしてはおとなしすぎませんか?
脱走する気なら、もう何らかのアクションがあってもいいと思うんですけど・・・?)
あまりにもおとなしい啓太に3人がいぶかしんでいると。
ついに啓太が脱走をにおわせる発言を口にした。
「ああもう!テレビも放送も、さっきから同じことを繰り返しているし!
ちったぁ、違うことを言えってんだ!
やっぱりクロックたちから情報を伝えてもらわないとダメだな・・・」