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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 218

それは自分の住んでいる町への心配。
夢たち怪人と関わるまではいち大学生として暮らしていた啓太は、この町にそれなりの愛着を持っている。
啓太が怪人たちに一般生活を教えていたのも、あの平和な町でみんな仲良く、楽しく過ごしたいと思っていたからでもある。
それなのに。事態は啓太の理想とは程遠く。
愛着ある町は再び破壊の限りを尽くされ、啓太の怪人たちは戦いに明け暮れている。
戦闘型の怪人たちにとって、活躍の場がそれしかないとは言え、啓太にとってこれはあんまりな状況であったのだ。
(うむ、啓太様の悪い癖が出たようだな。
この間の事の事がない様にマリア達に啓太様が何かやらかしたら止めさせるか……)
啓太の落着き無い様子をクロックは直ぐに察しマリアにサインを送る。
『マリア、マリア、啓太様がこの間の暴走しない様にしっかり見張ってくれ…場合によっては気絶程度は許す。』

『解りましたクロック様、マイとマヤにも伝えておきますわ。』
クロックのサインを瞬時に読み取ったマリアは了承しマイとマヤに伝えるとサインを出す。
『うむ、頼んだぞ。』
クロックも頼むとサインする。

しかしこのときクロックは啓太のことを甘く見ていたと言わざるを得ない。
啓太自身も気づいていないが、非常に縄張り意識の強いところがある。
普段は気が弱くて流されやすい男だが、自分の生活を脅かすものを嫌い、その領域を侵そうとするものには全力で抵抗する。
かつて悪の組織の頭領になるのが嫌で、怪人ひしめくこの基地から脱走したのはその最たるものと言えるだろう。
そして今。地上では啓太の生活圏である三方町が蹂躙され。
彼の大事な怪人たちが死ぬ危険を冒して、町を蹂躙する敵と戦っている。
自分の怪人を殺されたくない。これ以上町を壊されたくない。
そんな思いが、今の啓太を突き動かしていた。
啓太は今にも飛び出して行きたい衝動を懸命に抑えながらここから出る算段を練っていた。

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