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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 215

「無論、休日を潰された八つ当たりも含めてな」
その姿からは想像できないほどの冷たい声でルシフェルは本音を漏らす。
「休日手当ての方はなんとか上に掛け合ってみよう。ただ、あまり期待しないでくれ」
冷たくなった雰囲気を和らげようと鬼瓦はルシフェルに暗に考慮すると言う。
「それと名前は?そちらが知っていてこちらが知らないと言うのは不公平だろう?」
「確かにそうだな。私はプロトアドヴァンストヒーロー ルシフェル。熾天使(セラフ)型のヒーローだ」
「プロトアドヴァンストヒーロー?聞いた事無いのだが?」
「お前達が知らんのは当然だ。上層部でも知っているのは極僅か……今まで私達は秘蔵されていたのでな。信用できんのなら、この騒動が終わってから大塔寺にでも聞いてみるがいい」
鬼瓦たちに背を向けるルシフェル。胡散臭いと思いながらも一応味方だとわかった。
「それと……勝手にはやるが、勝機があれば私を利用してもらっても構わん。無論、こちらも利用させてもらうがな。さっさと終わらすのだろう?もたもたしている暇はない」
言い方は乱暴だが、暗に協力はしてやると鬼瓦に言うルシフェル。上司であろうと呼び捨てにする所は彼女の性格ゆえだろうか?
同じヒーローとはいえ、鬼瓦達の彼女の印象は最悪に近かった。だが、そんな些細な事で神経を尖らしている暇はない。今尚、怪人たちが暴れ、町を破壊し、蹂躙しているのだから。
鬼瓦警部はわずかな一瞬にして計算を済ませるとルシフェルの申し出に返事をした。

「いいでしょう、あなたがその関係を望むのであれば。
 ただし・・・もしその力で無関係な一般人を傷つけるのであれば、我々も容赦いたしませんのでそのおつもりで」
「ふん・・・?さすがはあの『大戦』で生き抜いた英雄殿だな。
 育てた部下をあっさりと地につかせる私の力を目の当たりにして、なおそのような口が利けるとは・・・」
「なッ・・・!?あ、あれは別に・・・!」
「力のない旧式には旧式で、いろいろやりようがあるんですよ。
 あなたこそその力にうぬぼれていると、思わぬところで足をすくわれますよ・・・?」

反論するエクスキュショナーを手で制しながら、笑顔で答える鬼瓦警部。
しかしその目は笑ってないどころか、怒りすら感じられる。
皮肉めいた言い方が何よりの証拠だ。

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