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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 213


今にもケンカに発展しそうな真一と翔影を押さえる鬼瓦。
しかしその顔にはどことなく元気がなく、暗い影を落としていた。

「かかかっ、心配すんなって大将。こっちは期待の新鋭が勢ぞろいしてんだぜ?
 怪人どもが何企んでようが、すぐに片をうけてやるよ。なぁ?」

そんな上司の様子をうかがっていたジャスティス・エクスキューショナーは、カラカラと笑いながら重い空気を吹き飛ばそうと2代目エルカイザーの肩に手を伸ばし、同意を得ようとする・・・が。

パシッ!

「なれなれしく私に触るな。私はそこの男が気落ちしようが死のうが関係ない」

エルカイザーはエクスキューショナーの手をたたき払うと、仲間たちに背を向けてどこぞへと歩き出す。
それを見て驚いたサンダーボルトこと紫がそれを止めようと試みる。

「ちょっと待つの。どこへ行く気なの?」
「私は貴様らと馴れ合うつもりはない。こちらで勝手に狩らせてもらう」
「そんな勝手な単独行動、許すと思うの?」
「・・・安心しろ。上司の面子や部隊の迷惑になるようなことはしない」

エルカイザーはそれだけ言うと、問答は終わったとばかりにその場を立ち去ろうとする。
2代目の変人ぶりは今日に始まったことではないが、さすがにこれを無視することはできない。
紫は力ずくでも止めようと歩き出す。しかしその行く手を遮ったのは同じ部隊のメンバーである翔影だった。

「落ち着きなさい。彼の奇人変人ぶりは今日に始まったことではないでしょう?
 ここは私がサポートについていきます。よろしいですね、鬼瓦隊長?」
「あぁ、よろしく頼む」

翔影は無言でうなずくと、音もなくその場から姿を消した。
エルカイザーと翔影が鬼瓦達と別れて行動してから暫く、T字路の左側から怪人と思わしき怒声が聞こえてきた。
彼らがその怪人を取り押さえようと踏み込もうとして、目の前で繰り広げられる光景に唖然とした。
ガトリングを持った戦車型の怪人の攻撃をスライディングで避けつつ間合いを詰め、黒衣の少女が怪人の目の前で跳ねる。言うまでも無く、少女はルシフェルである。
そのまま飛び越すかと思えば、両足首を怪人に絡ませ、両手を組んで振り子運動のままに身体を下ろす。体格差からその組んだ両手が狙う先は怪人の腰。
思惑通りに腰に組んだ両手がハンマーの如く直撃する。だが、ルシフェルの狙いは相手の腰に痛打を与える事ではなく、バランスを崩す事。
ぐらりと怪人がバランスを崩し、ルシフェルは絡ませた両足に力を入れ、後ろに倒れる怪人を利用してそのまま脳天から地面に叩き付けた。
フランケンシュタイナーと呼ばれるプロレスで使われる投げ技だ。落下速度、相手の重量、勢いの三つが合わさった結果、戦車型怪人の頭は見事にかち割られていた。
尻餅をつく形となったルシフェルはスカートの埃を払うように叩き、立ち上がる。

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