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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 210

何枚もの金属板はまるで1個の生き物のような動きで曲線を描くと近くにいたサルの怪人の腕を切り裂いた。

「く、くそぉッ!?」
「待てッ!?そっちを狙うな、狙うのは敵の武器が出てきたところを撃つんだッ!」

飛び出してきた金属板を撃つ仲間たちにリーダーらしき男が怒鳴り散らすも、時すでに遅し。
飛び出してきた金属板の群れはまるで蛇のような動きで出てきたところから戻っていった。
さっきからずっとこれの繰り返しであった。
彼らの死角をついてあの蛇のような刃物が襲っては隠れ、別の場所からまた怪人たちに襲いかかって来るのだ。
この障害物の多い地形で、いつどこから襲ってくるかわからないこの状況で、怪人たちの精神と体力はどんどん磨耗していった。

(くそッ、一体何なんだあの武器は!?
 鞭のように動く剣ならともかく、あんなでたらめな動きをする武器なんて聞いたことがないぞ!?)

リーダーらしき怪人が思わず愚痴るが、その考えは少々間違っている。
今彼らが相手にしているモノの恐ろしさは、襲いかかる武器の変幻自在の動きなどではないのだ。
本当に恐ろしいのは敵に武器だけ見せて、武器を操っている本人はその所在はおろか、姿さえ見せていないことだ。
あれほどの複雑な操作を行っているのだ、おそらく使っている本人は彼らの近くにいるはずだ。
だが彼らはその姿を見ることさえかなわない。
これだけでも怪人たちが相手しているモノとの実力がうかがえよう。
そうこうしている間に、蛇のようにのたうつ武器はまた1人怪人を行動不能にして再び瓦礫の向こうへと姿を消した。
今残っているのはわずか数人ばかり。
残りは肩や足首を切り裂かれたり、全身切り傷だらけにされてうめいている。
1人の死人も出さずにここまでいいようにされている。
その事実が残された怪人たちのプライドを痛く傷つけた。
かくなる上は、相打ち覚悟でも反撃して、相手に一矢報いてやる。
怪人たちは覚悟を決めて、じっと次の攻撃を待つ。
しかし先ほどまであんなに自分たちを苦しめていた蛇もどきはいつまで経っても出てこない。
こちらの考えを読んで逃げ出したか?
リーダー格の怪人はそう考えたが、甘かった。
相手はそれを知った上で、自分たちを倒す攻撃の準備をしていたのだ―――!

ジャキィンッ!!

次の瞬間、待ちに待った攻撃が瓦礫の影から飛び出した。

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