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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 207

第3勢力は自分以外の組織を疑いだし、一部の組織は報復行動として他組織を攻撃しだしたのである。
後は芋づる式に次々と火種が飛び散り、あっという間に町全体を戦場としたフィールドが形成された、というわけである。

「・・・いくら仲間が殺されたからって、怪しいって理由だけで他の組織にケンカ売ったの?
 いくらなんでも短絡的過ぎやしないか?!」

事のあらましを聞いた啓太の第一声は、そんな感想だった。
確かに平和ボケした啓太の頭では、そんな感想を持っても仕方がないのかもしれない。
夢は苦笑しながらこう答えた。

「彼らにもいろいろあるんですよ。
 仲間を失った悲しみとか、力や命令を実行できないストレスとか」
「後半はともかく、前半はちょっと無理があるんじゃないか?」
「そうでもないですよ?
 少なくとも私は啓太様を殺されたりしたら、死んでもその相手を許しませんから」

その瞬間、夢だけでなくその場にいた怪人たち全員からドス黒いオーラが漏れ出す。
表情や仕事ぶりには何1つ変化はないのに、必殺のオーラがビンビン伝わってくる。
怪人たちの啓太へのぞっこんぶりは、ますます磨きがかかっているようだ。
啓太は勝手に想像して勝手に殺意をたぎらせる面々に少々腰を引かせながら、必死の思いで話題を切り替えた。

「そ、それで?作戦のほうはどうなってるの?」
「状況はいろんな勢力入り乱れての大乱戦ですから、何もしないで敵が自滅するのを待つのが1番楽なのですが・・・。
 それは啓太様の望むところではないでしょうから、次善の策で行こうかと思います」
「『次善の策』?」
「漁夫の利を取る、でもいいですね。まぁ啓太様はこちらででーんと構えていてください」
「そういうこった。ここからうちら戦闘型怪人の出番なんだからなっ!」

そう言って前に出てきたのは巨大な斧を担いだウルティマ・ビースト。
そのまわりでは刀や薙たちも腕が鳴ると言わんばかりに反応を示す。

「ビースト・・・みんな・・・」
「おっと啓太様。今の名前は『荒田乱(こうだ・らん)』だろ?
 大丈夫、大丈夫。今回も犠牲者なんて出さないで狩ってくるからさ。
 帰ってきたらたっぷりとごほうびをいただきますからねっ!?」

まるで獲物に狙いをつけた肉食獣のような視線で啓太を見つめる乱。
その迫力に思わずたじろいた啓太は気づいてしまった。
よく見れば乱だけでなく、他の連中も大なり小なり発情しているということに。
怪人とは言えこれほどの女性に好意を持たれているのは、男として本懐なのであろう。
しかし実際にそんな事態に遭遇すると、うれしさよりも怖いものを感じてしまうのはなぜだろう?
猫の大群に追い詰められたネズミのような気分になった啓太はそれに対し。

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