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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 205

彼らの個々の強さはこれまでの訓練で飛躍的な成長を遂げた。
ただこの普段のまとまりのなさだけはどうにもならない。
いざ戦闘となれば無類の力を発揮するというのに・・・。
たぶん自分がいなくなれば、彼らはすぐに問題を起こすことだろう。
鬼瓦警部はそう判断していた。

「まったく・・・少しはおとなしくできんのか、おまえらは。
 ちっとは真一と紫(ゆかり)を見習え」
「ええ!?そんな、誤解っスよ、鬼瓦さん!
 ただコイツらが勝手にケンカ売ってくるだけで・・・!」
「バカ野郎。売られたケンカをほいほい買うな」
言いながら鬼瓦警部はエクスキューショナーと翔影を睨みつけた。
口調は軽いが、鬼瓦警部の静かな迫力に、両名は大人しくなった。
それを見た 真一 −慌てて喧嘩を止めようとした少年だ−や、紫(ゆかり)−サンダーボルトと呼ばれた学ラン鬼娘−が、明らかにほっとした様子で一息ついた。

「ようやく静かになったわね。みんな子供なんだから。」
女性の声がした。紫(ゆかり)ではない。
見下した口調に、僅かに殺気があたりに戻ってくる。
白い翼をモチーフと装飾にした、独特の鎧をまとった長身の美女が放った声だ。
「やめんか、マルス・ヴァルキューレ!消した火をもう一度つけるんじゃない。全員静まれ!」
鬼瓦警部は強い口調で抑えにかかった。
そして内心で思った。
 この馬鹿弟子どもをチームにしている間は戦死もできんな。私が手綱を握ってなければ内紛で自滅する・・・頭の痛いことだ。
鬼瓦警部は内心で何度ついたかわからないため息を吐きながら気持ちを切り替えた。

「ではこれより我々『オリハリコン・フォース』は、三方町で発生した怪人事件の鎮圧に向かう」
『――――!!』

警部の一言に、部隊の面々の表情が変わった。
待ちに待った新部隊『オリハリコン・フォース』の初陣なのだ。
反応しないほうがどうかしている。

「現地ではさまざまな悪の組織が入り乱れての大乱戦となっているらしい。
 みな、この部隊に配属されるに当たり、さまざまな思惑があったと思うが、それらはすべて忘れ、いち正義の味方として力を振るってほしい!
 なお、指令部からは町の住民の避難は完了とあるが、万一逃げ遅れた住民や要救助者を発見した場合は優先的にこれを助けるように!
 以上!何か質問はあるか!?」

鬼瓦警部の言葉に反論はない。あろうはずがなかった。
彼は沈黙を肯定と受け取って話を進めた。

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